シナリオガイド

シナリオソース
1,魔女を狩る者達 2,聖者の石の探索 3,禁書の回収
4,高貴からの堕落 5,魔王の予言 6,幽霊という存在
7,辺境とレコンキスタ
シナリオサポート
7,NPCの情報について 8,NPCモラルチャート 9,シナリオチャート
10,関係トラブルチャート 11,拠点チャート

    

 1,魔女を狩る者
1,通報と指名手配

強力な力と膨大な代償を必要とする魔術は人目に触れずに使う事が基本となる
というのも、過去の教団と魔女の戦いにより、
魔女と魔術その実在が民衆にまで確認されているからだ。

そのため、教団が支配する地域で魔術を発動し、
それを目撃されたならば、目立場と状況次第で教団に通報される可能性がある。
実際に通報がなされると、当局はPCを「魔女」として指名手配し、捕縛のために動き始める。

以後、指名手配者は、自身の姿を一般人に目撃され、指名手配者だと気づかれた場合、
そのままシーン終了まで放置すると、現在地を教団に通報される可能性がある。
そのため、その通報が実際に行われたかどうかの[幸運判定]を行わなければならない。

この時の判定修正値は、「−目撃者達の最大[身分]+30」が基本となる。
高身分者は通報に積極的でペナルティとなり、低い者ほどボーナスになりうるという事である。

これに失敗すると、目撃された場所に「異端査問官」が「官憲」の配下を従い現れる。
この時の「官憲」の数は、基本として指名手配されたPCの数と同数とする。

異端査問官達は、目撃された場所を監視下に置き、その場を巡回し始める。
巡回している場所以外で指名手配者が目撃されれば、そちらに巡回場所を移す。

この異端査問官のグループは、指名手配されたPCの数と同数となる。
これらのグループの巡回場所は、目撃場所が一箇所のみである場合を除き、重複しない。


この指名手配は、通報された拠点でのみ適応され、
そのシナリオが終了すると「逃げ切った」として解除される。

当然ながら、何かしらの手段で目撃者の口を封じれば、
通報自体が行われないため、指名手配もされる事はない。
 


2,魔女の宿敵

活動している拠点がカヴェル教団と強い関わりがあれば、
「異端査問官」が主な追っ手となるだろう。

また、「白鴉の夢協会」と呼ばれる秘密組織も
「探索者」達を追っ手として魔女へ差し向ける場合もあるだろう。

魔女が魔術に対する術を持つように、魔女を専門に対応する
これらの追っ手もまた、魔術に対抗する知識を得ている。

そして、追っ手の中で、ただならぬ修羅場をくぐりぬけた気配を
感じさせる存在を確認したなら、魔女は速やかに逃げたほうがいい。
それは奈落の眷属の対応に特化した、専門の「魔狩人」であるだろうから。
 


3,仇となる魔女の証明
魔女の証たる「聖槍の烙印」と「磔刑の刻印」も、
当然の事ながら魔女たる証拠として
異端査問会の注意を非常に引く要素となる。

また、魔女はリビドー値を高めて、より強力な魔術を
行使できるようになると、その影響を周囲にも与え始める。

そのような「魔女である証拠」を目撃された場合、
魔術の行使を目撃された時と同様に通報される危険がある。

それによって魔女の敵対者たる異端査問会の聖職者に感づかれれば、
遅かれ早かれ襲撃を受ける事は、ほぼ確定してしまうだろう。
 

4,指名手配の工作

もし目撃者が通報に至り、魔女としての指名手配を受けた場合、
GMは、PCの内いずれかが「社会判定」に挑戦し成功する事で、
それを解除する事ができるとしてもよい。

社会判定を行う相手の能力値は拠点規模によって変化し、
村規模なら「悪徳商人/権力Lv3」、町規模なら「騎士/権力Lv4」、
都市規模なら「暴君領主/権力Lv5」のエネミーデータを基本として使用する。

これらの指名手配を解除するための「社会判定」は、
指名手配解除対象を問わず、PC1人につき1シナリオに1回づつ試みる事ができる。
 

 

 

 2,聖者の石の探索
1,意思を試す聖石

魔女は”聖者の石(以後:聖石)”と呼ばれる
特殊な魔石の収集を黒山羊から命じられる場合もある。

聖石は「慈悲」「勤勉」「謙譲」「節制」「純潔」「救恤」「忍耐」の7種類が存在し、
聖石は特殊な魔力を放出して周囲に多大な影響を与える。

これらの聖石はその名称とは裏腹に、
人が持つ大罪の要素を激しく刺激する魔力を放ち、
美徳を煽るどころか背徳を撒き散らし始める。

これはそれぞれの名が示す美徳を試すための魔石と言われ、
魔石の魔力に飲まれない者こそ、聖石の所持者に相応しい聖者と言われる。
 


2,聖石の成り立ち

聖石は主に偶然発掘されたり、遺品から発見される等で、
その存在が世に放たれる事が主だが、自然に出現する事もある。

聖石は魔力が濃縮され結晶化した存在であり、
その魔力は人間を始めとする様々な命から
漏れ出た生命の力が源となっている。

特に強い意思が多く集う場所で固形化しやすい事から、
人が多く集まる都市、生命が集う大自然で結晶化するのである。

この性質を持つ事から、聖石を生み出す要素は
魔女の力の源であるリビドーに他ならず、
聖石は魔女の法具である魔石とも言われる。
 


3,傍迷惑な宝石

石の存在は世間的には広く知られておらず、
教会のごく一部の人間や知識人、そして魔女がその知識を有している。
主に物流で所有者を転々としており、市井に流れる場合には、
美しい宝石や綺麗な石として売り出されている。

石は所有者が決定されてからその魔力を徐々に発動させていくため、
早期発見が難く、気がつけば一大事となっている事が多い。

このため、市政者、教団、魔女など、普段対立する者たちにとっても
聖石の魔力の暴走は食い止めなければならない災害なのである。
 


4,有り難いお仕事

聖石の大まかな行方は、魔女の指導者たる黒山羊が
何処かしらから得た情報をPCに通じて教える事になるだろう。

聖石は様々な特性を持ち、それによって多種多様な災厄を
現地で巻き起こしている事だろうが、魔女は教団の目を掻い潜りながら、
その聖石を探し出し、どうにかして持ち帰らなければならない。
 


5,聖石を狙う者達

聖石の魔力は魔術を扱う知識を持つ者であれば制御でき、
所持した時に周囲へ影響を与える魔力の開放を制限する事ができる。

魔女や異端査問会の者たちは、魔術に対する術を知っているため
石の悪影響を受ける事はないが、一般人は呆気無く屈してしまう。

そして、聖者の石を回収するためにやってきた魔女と異端査問会が鉢合わせし、
さらなるトラブルを起こす事も稀ではない。
 


6,報酬としての聖石

回収した聖石は黒山羊に引き渡すのが基本だが、
場合によっては黒山羊は聖石を褒美として魔女に渡す事も稀にあるという。

聖石は制御すれば所持者に加護を与える効果もあり、
「磔刑の魔女」が所持すると民衆に影響を与える力が強くなる加護も得る。

ただし、この聖石の加護は自身の持つ原罪に対応した聖石でなければ
加護を得る事ができず、さらに効果の重複もされない。
 


聖者の石 石の魔力の影響

慈悲の石
(対応:憤怒)

所有者の理性が虚弱となり、
非常に怒りやすくなり攻撃的、暴力的な行動を取り始める。
さらにはその周囲の者たちの精神にも影響を与え、
この石のある地域は、暴力沙汰が頻発し、治安が一気に悪化する。

「聖槍の魔女」が所有した場合、[体格]が+5、
「磔刑の魔女」が所有した場合は、さらに「権力レベル+1」の効果を得る。

勤勉の石
(対応:怠惰)

所有者の気力が著しく減退し、
仕事はおろか動く事、しゃべる事すらままならなくなる。
さらにはその周囲の者たちの精神にも影響を与え、
この石のある地域は、誰もが怠けがちになり生産活動が停滞する。

「聖槍の魔女」が所有した場合、[知恵]が+5、
「磔刑の魔女」が所有した場合は、さらに「権力レベル+1」の効果を得る。

謙譲の石
(対応:傲慢)

所有者の自己顕示欲が燃え上がり、
非常に尊大かつ自画自賛な態度、そして大胆な行動力を見せ始める。
さらにはその周囲の者たちの精神にも影響を与え、
この石のある地域は、向こう見ずな態度を取る者で溢れはじめる。

「聖槍の魔女」が所有した場合、[機敏]が+5、
「磔刑の魔女」が所有した場合は、さらに「権力レベル+1」の効果を得る。

節制の石
(対応:暴食)

所有者の食欲が燃え上がり、
己の満足する美食を追い求め、時として禁忌とされる食材に手をつける。
さらにはその周囲の者たちの精神にも影響を与え、
この石のある地域は食物が全て食いつくされ飢餓に襲われる。

「聖槍の魔女」が所有した場合、[器用]が+5、
「磔刑の魔女」が所有した場合は、さらに「権力レベル+1」の効果を得る。

純潔の石
(対応:色欲)

所有者の恋愛欲求を非常に強く誘発させ、
その止め処ない欲求の発散のために、手段を選ばぬ求愛行動に出る。
さらにはその周囲の者たちの精神にも影響を与え、
この石のある地域は、痴情のもつれによる事件が続発する。

「聖槍の魔女」が所有した場合、[幸運]が+5、
「磔刑の魔女」が所有した場合は、さらに「権力レベル+1」の効果を得る。

救恤の石
(対応:強欲)

所有者の物欲が燃え上がり、
衣装や装飾品、インテリアなど様々な物品や財産を気にせず買い漁るようになる。
さらにはその周囲の者たちの精神にも影響を与え、
この石のある地域は、暴力や殺人も辞さない強盗、略奪が頻発する。

「聖槍の魔女」が所有した場合、[財力]が+5、
「磔刑の魔女」が所有した場合は、さらに「権力レベル+1」の効果を得る。

忍耐の石
(対応:嫉妬)

所有者の劣等感を強く煽り、
僻み、嫉み、妬みを周囲に撒き散らし、その原因となる存在を排除しようとする。
さらにはその周囲の者たちの精神にも影響を与え、
この石のある地域は、ヒステリーや欝が頻発し、事件や自殺が多発する。

「聖槍の魔女」が所有した場合、[意思]が+5、
「磔刑の魔女」が所有した場合は、さらに「権力レベル+1」の効果を得る。

 

 3,禁書の回収
1,悪魔の叡智を記した書物

禁書室の管理人ダンタリアンから与えられる
魔女の重要な使命として「禁書」の回収がある。

禁書とは、禁断の知識が記された魔道書であり、
読み手に大いなる力と、隣合わせの破滅を与える危険な書物である。

魔女が魔術の知識を伝授される際に与えられる魔導書も禁書の一種であり、
魔女であっても黒山羊の許可なく読む事は許されない。

魔女が得る魔術が記された禁書の他に、
それ以上に歪んだ魔術を記したものも多く、
それは往々にして聖石同様に災厄を巻き起こす。

禁書の知識がもたらす災厄は聖石以上に危険であり、
時として黒山羊達にとっても危険をもたらすため、禁書の回収は急務となる。

禁書の災厄は、娯楽に飢えて魔女を使って世界を弄ぶ黒山羊達が、
本気で対策を講ずる必要がある程の大事件なのである。
 


2,世界に散った禁書

ダンタリアンによって封印されている禁書が世界に散らばった理由は、
かつての教国と魔女の戦争が大きな要因を占めており、
借り出した禁書を得た魔女がその力を振るい奮戦するも、
次々と教国の軍隊に敗れ去る過程で、その多くが所在不明となったのである。

ダンタリアンは各地に分身を放ち、散らばった禁書の行方を自ら探しているが、
往々にして禁書はそれ自体がもたらした災厄の渦中にあり、
力のない分身では回収できぬと判断したダンタリアンは、
他の黒山羊や魔女達にその禁書の回収を依頼するのである。
 


3,誰が書いたのか

禁書の大半は、歴代の魔女や黒山羊等が記した
魔道書であり、彼らの功績に準じた異能を秘めている。

その中には、黒山羊すらも怖れさせる著者不明の禁書も存在するが、
この事は、それを記した者が、黒山羊はおろか、
魔王をも超える存在である事を、暗に示しているのである。
 


4,世界の危機の演出

GMは禁書に記されし異能を、
回収メンバーの魔女たちに予め大まかに教えておくといいだろう。

禁書の能力を秘密にしたい場合は、禁書とPC達を「偶然」引きあわし、
なしくずしに禁書の暴走を食い止め、回収を目指とさせるとよい。

GMは禁書の内容について、世界を破滅に導く呪文が実際に記されており、
暴走すれば実際に世界が破滅するとしてもよい。

ただし、そこまで危険な禁書がなぜ貸し出されたかについては、
「その必要があった」という状況を創りだす必要がある。

あるいは、「最初からダンタリアンの管理下にない未知の禁書だった」としてもよいだろう。
GMは世界を巻き込んだ破滅の危機を、
これらの禁書によってもたらし、魔女たちの大きな試練とするとよい。
 

 

 

 4,高貴からの堕落
1,闇への誘い

魔王の崇拝者を教国に浸透させるための活動も、魔女として重大な使命である。
教国には、腐敗した権力者や実力者の中にも、純粋に民を思う善人が稀ながらも存在する。

彼らは人心の荒廃に心を痛め、教団の腐敗に少なからず不満を持っているだろう。
そして、往々にしてそれらは排斥される者であり、見せしめとして処刑される事も多い。
だが、教国の不穏分子たる彼らは、己の理想の実現のために無念をよしとしない。

こうした境遇にある者たちは、魔王の崇拝者として高い利用価値を持っている。
その者が権力者ならば、その権力がそのまま魔王の影響下に下る事となり、
その者が不屈の精神を宿しているならば、優秀な魔女として暗躍する事が出来るからだ。

黒山羊達はこうした者たちに目をつけ、虎視眈々と己のサバトに引き込うと企んでいる。
それらの者を堕落させて懐柔するために、使者や護衛として魔女を差し向けるのである。 
 


2,堕落へ至る交渉

腐敗した教国に強い不満があるとしても、彼らは魔王を崇拝する者たちではない。
むしろ、魔王に従う魔女も、同じく腐敗の使徒として扱い、敵対する事は珍しい事ではない。
ではどうやって彼らを引き込むかといえば、それは原則として交渉となる。

彼らは崇高な理想のために苦心し、いつ始末されるかわからぬ状況にある。
よって、彼らは現在の苦境を乗り越えようと必死であり、藁にも縋りたい心境であろう。
魔女にしても、彼らが死んでしまっては何にもならぬので、これを助ける事になるだろう。

もっとも、ただ手助けするだけでは、ただのボランティアであり、魔女としては何の益もない。
彼らとしても、利用するだけ利用して、できれば魔女を退けたい、始末したいと考えるだろう。

どうすれば「彼らを守りぬいた上で堕落させて同胞に招き入れる事が可能か」と問えば、
その回答は「彼らが魔王に縋らなければ生きてゆかれぬ状況にすればよい」である。

そのためには、彼らの「正気」は、とても邪魔なものとなる。
 


3,魔女の釜の底へ
闇に見初められたターゲットを堕落させる達成条件は、以下の通りとなる。

@ ターゲットを、生還させる。

何はなくとも、生きてもらわねば困る。
殺害されるのは論外であり、自殺をされては徒労である。
なお、最終的に生きていれば良いので、死んでも蘇生できれば問題はない。

A 黒山羊がターゲットに望む利用価値を死守する。

利用価値がなければ、引き込む理由もない。
かといって多くを望み過ぎても、魔女の手に余るだろう。
死守すべき利用価値は、1つ程度に留めておくべきだ。
ただ、玩具としてだけ望むならば、守るべきは「命」だけで良い。

B ターゲットの苦境を退ける。

苦境の中では警戒心も強く、また、味方に引き込むのだから手助けは必要だ。
今、彼らを致死に追いやろうとする破滅を、友として退けてあげよう。
具体的な苦境の内容を提示すれば、魔女としても行動しやすい筈だ。
これはシナリオの本筋となるもので、その過程で他の条件を満たす事となる。

C ターゲットの[性癖]を最低3種類、充足させる。

己の宿業を受け入れ、身を委ねる事が、堕落という救済に繋がるのである。
彼らの性癖は黒山羊から魔女へ伝えてもよいし、魔女に調べさせてもよい。
ただし、性癖の調査にはそれなりに時間がかかるだろうから、
彼らを襲う苦境が大した事のない状況でやらせるのがいいだろう。

D ターゲットの[正気点]を、「半分以下、1以上」に低下させる。

魂が揺らぎ、絶望に落ち込む最中こそが、最も心に入り込みやすいものだ。
ただし、精神を崩壊させてしまっては、元も子もないので、適度に追い詰める事。
もちろん、完全に敵対し、関係の改善が計れない状況に陥ってはならない。
[正気点]が最大1点の者は、もとより意志薄弱故に、低下させる必要はない。
彼らの[性癖]が1つ充足する毎に、[正気点]の低下必要値が1点軽減してもよい。
 


上記の条件をすべて達成した上で「クライマックスフェイズ」を終了すれば、
ターゲットは、以後は魔王の崇拝者として、魔女たちの同胞へと迎え入れられる事となる。
なお、堕落させるターゲットは、ゲーム時間の都合上、1人のみに留めておくべきだ。
 

 

 5,魔王の予言

魔女を導く黒山羊ではあるが、彼らもまた力ある者に仕える従者に過ぎない。
魔女が黒山羊に従うように、黒山羊もまた、己の主たる魔王に従わなければならない。

そして、黒山羊が魔女に与える使命が、魔女から見れば実に気まぐれな厄介事であるように、
魔王が黒山羊に与える使命も、黒山羊から見れば、やはりとても気まぐれな厄介事である。

魔王からの使命を受けた黒山羊は、同時に魔王から「予言」を与えられる。
魔王の予言には、重要な事実や助言が含まれており、「嘘」を含む事は決してない。
この「予言に嘘はない」という事は黒山羊達も承知しており、これが破られる事は無い。
だが、何分、魔王の予言なので、それがどう転ぶかは黒山羊にとっても測りかねる所が多い。

黒山羊は魔王からの使命を果たすために、魔女を駒として動かす事になるだろう。
その時、己が受けた魔王の予言を魔女に伝える事も多くあろう。
脆い生身の人間の魔女にとって、その予言は重要な鍵となる筈だ。

予言をどこまで正しく伝えてくるかは黒山羊の都合次第、という事を注意せねばならないが、
そもそも魔王が何処まで黒山羊に情報を与えているかという事も、留意するべき事であろう。
 

 

 6,幽霊という存在
1,幽霊とは

奈落と繋がる現世においては、腐敗した死体が動いたり
死亡した者が蘇生する事は、稀とはいえ存在しないわけではない。
そして魂を奈落に染めた魔女が奈落に堕ちる事があるように、
「魂」の存在もまた確証が持たれている。
これは、肉体を持たぬ魂、つまり幽霊の実在も示唆している。
そしてそれは、確かな事実である。

幽霊は、現世の一般人においては魔女よりも余程に遭遇する例が多い。
ただし、遭遇はしても、それを他者が実際に検証して確認し、
実在の証拠を得る程に具体的な存在ではない。
よく「幽霊は見た」と騒がれはしても「幽霊」という存在が図鑑に載る事はないのである。

幽霊とは、死者の魂がさまよい出た存在以外にも存在し、
そして実体を持たぬ故に「幽霊」として一纏めにされている存在や現象の総称である。
その分類はおおまかに2種類に分類される。

まず、最も有名な死者の魂が肉体を持たず彷徨う「ゴースト」、
2つめが、何者かの記憶が何かしらの異変によって現場に焼き付いて
幻視・幻覚として実体なく再生される「メモリー」である。

ゴーストは当人が自身を最も強く認識できる姿(往々にして死亡時の姿と衣装)にて現れ、
実体を持たぬ故に身振り手振り以外の具体的な交流手段に乏しい。
メモリーはただ焼き付けられた記憶でしかない故に、交流を持つ事は不可能である。
故に、直接他者を害する手段を有さず、同時に物理的手段で幽霊を排除する事はできない。

そしてそれらよりも重要な共通点が、
幽霊が顕現している場所は、奈落と現世を繋ぐ穴「境界」という事である。
ゴーストやメモリーに遭遇したならば、それら幽霊よりも、
今自分が境界に踏み込んでいるという事実こそを警戒せねばならない。
 

2,幽霊の領域

幽霊の佇む境界は、通常の世界とは異なり超常的な現象が引き起こされる。
例えば、灯りが突如消える、周囲の構造物の風化が異常な程早まる、
迷宮化して閉じ込められる、物品が浮遊して彷徨う、突如大きな音が鳴る、等である。
これらの異変は法則性があるものもあれば、ない事もあり、予測は難しい。

境界は通常夜にのみ展開され、日中は幽霊のいない
ごく日常的な風景だけが広がり、夜間の異変の痕跡は残らない。
これ故に幽霊の目撃は夜間の辺鄙な場所に集中するのである。

境界が幽霊を生むのか、または幽霊が境界を生むのかは定かではないが、
殺人事件が起こった現場に境界が展開され被害者の幽霊が現れる等、
境界と幽霊は非常に強い関連性を持つのも確かである。

ゴーストは基本的に生前に残した未練の妄執に取り憑かれており、
メモリーの内容は何かを誰かに伝えたいという強い執念を感じさせるものが多い。
そして境界は性質上人里に近い区域に顕現し、踏み込む者達を通じて
異端査問官や探索者を招きかねない事から、付近に拠点を持つ魔女にとって
早急に対処しなければならない問題にもなりうる。

顕現した境界と幽霊を消滅させる手段は2つ、
「未練や執念を果たす」「境界を維持している核を破壊する」である。
境界の核は境界の何処かに隠匿あるいは偽装されて結晶化されている「リビドー」である。
結晶化したリビドーの核はリビドーの扱いを心得ている者、つまり魔女や黒山羊、
そして魔女と相対する術を持つ査問官や探索者が破壊する事ができる。

既に死亡しているゴーストや記憶の残滓であるメモリーを直接害する手段を
魔女は基本有しておらず、黒山羊であればゴーストを消滅させる術は有しているが、
その後メモリーに変化する事もあり、力押しによる解決は黒山羊といえど容易ではない。
 

3,危険な霊感スポット

上記は幽霊が現れる境界の一般的な特徴であり、
そこに出現する幽霊やメモリーは基本的に1人、多くて5人程だが、
より規模が巨大化し比例して幽霊がより具体的かつ危険な存在へと変質し、
それらの犠牲者が幽霊として取り込まれる境界も存在する。
その一つが「レムナント」であるというが、これは仮説の域を出ていない。
 

 

 

 7,辺境とレコンキスタ
辺境での冒険を楽しむために

魔女の活動はその性質上、集落の中に潜伏し教団の目を掻い潜って
目的達成に向かうというシティアドベンチャーが多くなるだろう。
当然、シティアドベンチャーに飽きる、あるいは苦手意識がある場合は、
野外での活動や冒険をしてみたいと思う事もあるだろう。

以下は、その野外においての冒険を行いたいという時に利用してほしい設定である。
これらの設定は、辺境の開拓村に潜伏した魔女が、村を拠点として発展させていったり、
害獣や山賊の討伐、採集や調査といった「冒険者」としての楽しみを補助するものである。
 


1,レコンキスタ

カヴェル教国は、周辺の国家を武力を以て併合する事で、
プルガトリウムの支配者、そして世界最大にして最強の帝国となった。
しかし、侵略によって得た領土と引換の天文学的な戦費を埋める事が出来ず、
教国の栄光は、すぐにも瓦解の危機を迎える事となった。

そこで教皇は、侵略できる国家もなく、未知の世界が広がるのみの辺境に目をつける。
そして、以下の勅命を教国全域に発した。

 「未だ神の手に戻らぬ大地を、我らの手の中に取り戻せ」

それは、「開拓団」を、辺境に派遣して植民地と化し、
そこから得られる利益で財政赤字を補おうという政策であった。
この開拓政策は、「本来の領土奪還」を大義名分としたため、
再征服運動、「レコンキスタ」と名付けられた。
 


2,免罪された簒奪者

放棄された辺境の開拓という無謀な政策は、
当初は貴族達の腰を非常に重くしていたが、
「異端」「背徳」「背信」の罪を免罪する「免罪符」を教皇が発布する事で、
貴族達は一転して投資を開始し、開拓へと乗り出していった。

「免罪符」を得た貴族達の私兵は「コンキスタドール」と呼ばれ、
開拓村の治安や防衛、そして敵対勢力への投入に重用された。

しかし、本土がそうであるように、コンキスタドールの腐敗は必然の帰結でり、
すぐに、コンキスタドールは開拓民達に税とは別の保護料を徴収し始めた。
これを拒否すれば、何があっても、その者は自衛の他に身を守る術を与えられず、
時には謎の不審火によって家が焼け、捕まらない暴漢に襲われた。

コンキスタドールの横暴を本土に訴えようとしても、その声は握り潰されるのが常であり、
公になったとしても、「免罪符」に守られたコンキスタドールが罪に問われる事は稀である。
 


3,涙の代価

長らく人の手が入る事のなかった土地の開拓は非常に厳しく、
開拓団を守護するはずのコンキスタドールによる横暴と圧政もあり、
多くの開拓民が力尽き倒れ、時には反逆者として死んでいった。

そうした開拓団の涙は、確かに教国に目論見通りの対価を与えている。
植民地での資源確保による経済の発展はめまぐるしいものがあり、
さらに、罪人や非労役者が辺境へ移動した事で、本土の治安を改善に向かわせた。

これらの成果に味をしめた教国や貴族、そして商人達は、
さらなる富を求めて「レコンキスタ」の規模を拡大していった。
その開拓バブルという動乱の影に、魔女の姿がある事を認めながらも。
 

 

     

 7,NPCの情報について

NPCは基本的に[身分]の高さが知名度の基準となり、
そのNPCの情報を知るための基本的な判定修正や基準は以下の通りとなる。

知らぬは恥
( +40 )
国の国主や、時代の寵児となっている英雄等であり、
国中に広く知れ渡っている人物。
基本、[身分]90以上の者。 
超有名
( +20 )

国家の重鎮や上位階級の指導者であり、
現地で平民にも知れ渡っている人物。
基本、[身分]83以上の者。

有名
( +10 )

才覚を表しつつある学者や美術家、音楽家など、
様々な意味で期待され名が広まっている人物。
基本、[身分]75以上の者。 

やや有名
( +5 )

ある事柄で売り出し中の新人や業界人など、
あまり知れ渡ってはいないが知る人ぞ知る人物。
基本、[身分]60以上の者。 

無名
( −20 )

有象無象の集団の1人に過ぎない、
家族や友人以外に誰にも覚えられない全く無名な人物。
基本、[身分]44以下の者。 


( −40 )

全く知れ渡っていない、経歴はおろか
存在さえもあやふやな幻の人物。
基本、[身分]29以下の者となる。 


ただし、これはあくまで「伝聞」で聞き伝わった情報までしか得る事は出来ず、
踏み込んだ深い情報はまた別で調べなければならない。

例えば、その知名度は国家に鳴り響く程の「知らぬは恥」な有名であっても、
忌むべき"裏の顔"は「幻」や「無名」な悪名かもしれない。

踏み込んだ事情は、指定の学歴の有無を必須にしてもいいし、
[情報判定]では確認が取れず実際に接触してみなければ不明としてもよい。

「性癖」も大っぴらに公開するものではないので、
場合によっては裏事情とはまた別に性癖についての情報収集が必要となるだろう。

また、NPCにエネミーデータが存在する場合、
データでの情報と、上記のNPCの裏事情は別個の情報とした方が良い。
 

 

 8,NPCモラルチャート


NPCの性格は千差万別であるが、その善性(モラル)に関してはある程度のパターンが存在する。
GMは、NPCの言動を演出するにあたって、以下からNPCのモラルを選定するとよい。

1D10 善性 説明
外道

良心の欠片も持ち合わせていない、人ならぬ者共。
家族でさえも、己にとっては利用するための存在でしかなく、
必要と有らば、なんの呵責もなく、これを切り捨てる事が出来る。
そして、完全に更生不可能であり、反省の弁を述べても確実に再犯する。
腐敗した権力者や聖職者、なりふり構わぬ狂人に多い。

2〜3 悪党

良心がないわけではないが、己の野心のためなら、それを捨てる者達。
絶対の信義を持っており、それに反する事を何よりも恥とする。
信義に沿うのであれば、信用たる交渉相手として十分に務まる相手である。
悪党が現在の自身に疑問を持っているのなら、更生の可能性はある。
徒党を組む犯罪者に多い。

4〜5 三下

強き者に媚びへつらい、弱き者に対してのみ傲慢な者達。
とにかく、その場その場の一時しのぎで渡世を渡り歩く、ならず者である。
生来の臆病者で、度胸がないので、厳しく躾ければ更生が可能である。
貧困層に多い。

6〜9 普通の人

己の立場や実力を嫌というほど自覚している、事なかれ主義の者たち。
良心は人並みにあるが、自身や家族に危険が迫れば、途端に折れてしまう。
心に余裕がないため、実害が及ぶと思えば、即座に手のひらを返してしまう。
中流階層に多い。

10 良心持ち

困っている人がいれば、つい衝動的に助けてしまう、いい人達。
自己犠牲心が強く、そして生活が苦しくとも、真面目に働く事が出来る。
ただし、その善良さが仇となり、卑怯者の格好の餌食となってしまう。
10人に1人、いるかいないかの割合で存在する。

稀有な善人

良心が溢れるどころか、聖人君子の粋に達している者。
己の行動が周囲にどのような影響を与えるかという計算が出来る。
さらに、決して膝を屈する事なく、事態の悪化を決して容認する事はない。
外道とは別の意味で人を捨てており、生き残ればカリスマ溢れる善君となる。
万人に1人、いるかいないかの割合で存在する。

 

 

 9,シナリオチャート

この世界は上記のようにトラブルに満ち溢れているが、
それをGMが1から考えてシナリオを構築するのはやはり手間だろう。

そこで以下の「シナリオチャート」を用意したので、
シナリオフックとして活用して欲しい。

これらのチャートはあくまでシナリオの指針を
ランダムで簡易に決定するだけのものなので、
シナリオ詳細はGMの好きなように決定する事。

@ 黒山羊から与えられるPCの使命
1D10 使命 説明
粛清

ボスキャラは黒山羊から教団へ主を乗り換えた裏切り者だ。
PCは、このボスキャラを何とかして粛清しなければならない。
裏切りの末路を知っているボスキャラは身辺を護衛で固めているだろう。
何故裏切ったのかはまだわからないが、ろくでもない理由に違いない。

破壊

黒山羊は何か不愉快な事でもあるのか、あるものが破壊される事を望んでいる。
それは何かしらの物品か、あるいは建造物等の無機物なのだが、
よりにもよってボスキャラが起こした事件に、それが深く関わっているようだ。
PCは、危険を掻い潜って目的のものを破壊しなければならない。

護送

ヒロインはどうしても行かなければならない場所があるのだが、
何かしら狙われる理由を有しており、このままでは始末されてしまう。
黒山羊としても、ヒロインが始末されては困る事情があるのだろう。
ヒロインをその場所まで護送するのが、PCの使命である。

救出

ヒロインは自覚はともかく重大な危機の真っ只中にあり、
このままではヒロインの命は確実に消されてしまうだろう。
黒山羊としても、ヒロインが始末されては鬱陶しい事情があるのだろう。
その前に、危険の中に飛び込んで、ヒロインを救出しなければならない。

調査

黒山羊が、ろくでもない目的のために、未知の情報を必要としている。
PCは、黒山羊が求める情報を手に入れ、それを持ち帰らなければならない。

当然、その情報を巡って一悶着あるだろうから、それに備えなければならない。

取得

黒山羊が、ろくでもない目的のために、ある物品を求めている。
PCは、この物品をどうにかして手に入れ、黒山羊に届けなければならない。
当然、それが普通に手に入るわけもなく、トラブルに備える必要があるだろう。
そして、ボスキャラが起こした事件の渦中に、案の定、それがあるのだろう。

暗殺

黒山羊が、ろくでもない理由でボスキャラの死を望んでいる。
しかし、このボスキャラは権力や配下等で守られ、公に始末する事が難しい。
PCの使命は、何とかしてボスキャラへと接近し、始末しなければならない。
当然、始末した後は、追っ手を巻くために、速やかに逃げなければならないだろう。

援助

ヒロインが望む事の成就は、黒山羊のろくでもない企みに沿うものであるらしい。
PCは、その願い事の成就のため、ヒロインを援助しなければならない。
そのためには、ボスキャラが起こした事件の中に飛び込む必要があるだろう。

勧誘

黒山羊はヒロインが魔女となる事を望んでいる。どうせろくでもない理由だ。
しかし、ヒロインは魔女になる事を拒む何かしらの理由を有している。
PCの使命は、魔女を拒む事情を何とか解決し、ヒロインを堕落させる事だ。
ボスキャラが起こす事件を利用できそうだが、同時に妨害ともなるであろう。

10 蹂躙

黒山羊が、ろくでもない理由でボスキャラの絶対的な破滅を望んでいる。
それも、ただ命を絶つのではなく、生きたまま絶望を味合わう程の破滅だ。
理由はどうあれ、黒山羊はそれを見たいとのお達しならば、やるしかない。
PCは、ボスキャラの大切な心の糧を粉々に打ち砕かねばならない。


A シナリオの舞台
1D10 舞台 説明
廃村

既に滅びたも同然の捨てられた集落。
はぐれ者が最期にたどり着く、静寂の廃墟。

多くの建物は風化によって崩れているが、
頑丈に作られている村長の家や教会は未だ残っているだろう。

過疎村

いずれ滅びが齎されるであろう、明日なき黄昏の集落。

主を失った建物は珍しくなく、弱った者は命を長らえる事も出来ない。
住人の顔には覇気がなく、未来が見えぬ弱者の涙で満ち溢れている。
救いの手が差し伸べられたなら、我先にと、縋りついてくるだろう。

最も多く、そして一つ消えても気にされない、有象無象の集落。

いくら畑を耕しても、育てた作物の大半は税として徴収される。
貧しさ故に医者にも頼れず、健康が崩れぬように祈るのみ。
豊かな世界へ夢を馳せ、破滅の恐怖に怯える彼らに歩み寄るのは何か。

宿場町

地方と地方を繋ぎあい、行商人や旅人が行き交う中継の町。

辺境の中継地故に、恥は掻き捨てとばかりのならず者も少なくはない。
住民にしても、足元を見て少しでも金を毟ろうと企む者で満ちている。
町の汚点は町の衰退に直結するので、町ぐるみでの隠蔽も日常茶飯事である。
意図はどうあれ、それを利用とする者が現れるのも、必然と言えるだろう。

地盤を固めてひとまずの安定を得た中規模の集落。

可もなく不可もなくといった、とりたてて何かあるわけでもない平均的な町である。
ある意味、この世界で最も平穏で静かな場所とも言えるかもしれない。
住人は、村の生活苦や都市部での陰謀の驚異に直接晒される事も少ない。
しかし薄氷の上の平穏である事は確かであり、不安は尽きない。

発展町

好景気に沸き立ち、都市への拡大を狙う町。

今、この町は将来性を見越した者たちが集っており、
都市に成長した際の、莫大な利益を取得するための駆け引きに余念がない。
そして、欲に目が眩んで焦った者が、無法の荒稼ぎに出る事は日常である。
ここに足を踏み入れる時は、派閥抗争に巻き込まれる事を前提とするべきだ。

中継都市

都市と都市を繋ぐ、国家において重要な中継地点である。

多くの物資や人々が絶え間なく流動しており、経済難民がスラムを作っている。
多少の問題が起こっても、中継都市の必要性から人が絶える事はない。
故に、行きずりの犯行や、旅人を狙った事件が頻発し、治安は非常に悪い。
それだけに犯罪組織が多く、組織間の抗争も絶え間ない危険な都市である。

都市

領主や、それに連なる有力者の後ろ盾を得た商人達が拠点を構える都市である。

商人ギルドの支部が多く置かれ、都市の金は彼らが握るとは大袈裟ではない。
都市においては貴族以上に商人が幅を効かせており、その権力は非常に強い。
故に悪徳商人が蔓延り、賄賂社会を構築し、既得権益を侵す者を許しはしない。
腐敗の犠牲者は報復を望み、縄張りを狙う別の商人はそれを黙認するだろう。

大都市

領主が居を構える、地方で最も巨大な、そして中心ともなる都市である。

大都市においての問題は、当然ながら領主が深く関わっている。
多くは領主が率先して不正を行い贅沢の限りを尽くす放蕩のとばっちりだが、
逆に、誠意ある領主が腐敗に厳とした態度で望む事で騒乱が起こる事もある。
そこには、カヴェル教団の暗躍が常にあり、異端査問会が目を光らせている。
領主に対して敵対するか、それとも協力するかで今後の活動が決定するだろう。

10 首都

教皇カヴェル13世が居を構える、世界一の巨大都市である。

異端査問会の本部が置かれる首都は、魔女が踏み入る事は自殺に等しい。
あらゆる場所で教団の目が光っており、迂闊な行動は即、死に繋がるであろう。
もしもこの危険な都市に入らなければならない場合、住人の協力は必須となる。
そして、地下に張り巡らされた不快な下水道が、数少ない隠れ場所となるだろう。
事は迅速に、そして密かに成し遂げられなければならない。


B ボスキャラの素性
1D10 素性 説明
奈落

相手は奈落から境界を超えて現れた異形の存在で、
望むがまま行う凶行は魔女にとっても害悪となり、結果的にPC達と対立する。

「我は何者にも屈さぬ、何者にも従わぬ。
 愚かな蟲共よ、我に歯向かった愚かさを嘆くがよい!」

魔女

相手も魔女のカヴンであり、黒幕の望む目的のため、
其れを妨害するPC達と対立する。

「何処かで見たような顔だけど、例え知り合いでも容赦はしないよ。
 逆らったら私達が殺されちまうからね!」

信者

相手は秘密組織「黒羊の夢教団」であり、
己達が崇拝する存在のために活動し、結果的にPC達と対立する。

「闇と混沌は全てを覆い、全てを包む。
 其れは例え魔王の眷属たる魔女でさえも例外ではない。そして我々も!」

野獣

相手は舞台となる拠点では怖れられている猛獣や
無法者の類であり、PC達とは利害の関係上、結果的に対立する。

「ヒャッハァー!
 有り金と服と女と荷物と馬をとにかく全部置いていけぇーい!」

黒幕

相手は舞台となる拠点では目立たない立場にあり、
それを利用して活動し、PC達とは利害の関係上、結果的に対立する。

「ヒ、ヒィ!?どうして私の仕業だとバレたんだ!?
 こうならないように使えるものは全部使ってきたのにぃ!」

権力者

相手は舞台となる拠点のそれなりの実力者の上位階級であり、
PC達とは利害の関係上、結果的に対立する。

「我の領土に土足で入り込んだ無礼は、その生命を献上してもなお赦されぬ。
 未来永劫地獄の炎に身を焦がされるがよい!」

犯罪者

相手は舞台となる拠点で裏の世界を渡り歩く「犯罪組織」であり、
PC達とは利害の関係上、結果的に対立する。

「余所者が調子くれて好き勝手絶頂やらかしやがってぇ!
 覚悟は出来てんだろうなぁ、あぁ!?」

探究者

相手は魔女と接触して利を得るために活動するオカルティストであり、
PC達とは利害の関係上、結果的に対立する。

「おぉ、お前たちも魔女なのか!どうだ、私に協力すれば何でもくれてやるぞ!
 ……何、嫌だと?ならばここで死ねい!」

査問官

相手はカヴェル教団の異端査問会であり、
魔女を誘い出して打ち倒すためにPC達と対立する。

「全てはこの時のための撒き餌よ。
 愚かな山羊の使いよ、神の威光によって浄化されるがよい!」

10 探索者

相手は秘密組織「白鴉の夢協会」であり、
魔王の眷属を打ち倒すために魔女であるPC達と対立する。

「貴様らのような連中がこの世界に現れなければ、
 私達は幸せのままでいられたんだ!」


C ボスキャラが引き起こす事件
1D10 事件 説明
聖石

いずれかの聖者の石を手に入れ、それによる災厄を巻き起こす。

「何という美しい宝石なのだ、この輝きはまさに世界の至宝!
 あぁ、吸い込まれそうだ。ハハハッ!」

猟奇

被害者多数の殺人や監禁などの猟奇事件を引き起こす。

「豚の臭いは鼻が曲がり、その血は目に映す事すら穢らわしいが、
 肉だけは甘美だな。ハハハッ!」

貶め

特定の個人が魔女であるとの風評を広め、
魔女の烙印を押して社会的に抹殺しようとする。

「手始めに小煩いあやつを始末しておくか。
 なぁに、あやつを貶める程度なら、寄付金はそう高くはつかん。ハハハッ!」

混乱

拠点となっている都市に社会不安を巻き起こし、
それに乗じて権力を手に入れようとする。

「まずは地盤を崩しておくとするか。
 あやつの椅子に我が座っている様を見せつけるのも一興よ。ハハハッ!」

恋慕

特定の個人を、自らの手中に収めようと、あらゆる手段を使ってくる。

「豚どもの連中に置いておくには勿体無い真珠だ。
 あれは我にこそ相応しい。ハハハッ!」

売買

特定の個人を手中にし、他者に売り飛ばす事で
野望を満たそうとあらゆる手段を使ってくる。

「肥え太った豚の考える事はわからんが、
 豚には豚がお似合いなのは違いない。ハハハッ!」

強奪

とあるものが必要であり、それを手に入れるためにあらゆる手段を使ってくる。

「我の目的のためにはあれが必要だ。
 なぁに、我の力を以てすれば手にする事など容易い。ハハハッ!」

排除

特定の個人が邪魔となり、その者を排除しようと
その個人を殺害、あるいは追放しようとする。

「床の耳で騒ぐ蠅蟲は羽をもぎ取ってしまうのが一番だ。
 我の安眠のために死ぬがよい。ハハハッ!」

衝動

衝動的かつ突発的で無計画な事件を、
欲望のままにあらゆる手段を使って暴虐を行う。

「あぁ楽しいな。実に、実に心が踊る。
 これが自由よ、これこそが至福よ。ハハハッ!」

10 出世

己の目的を果たすためには権力を必要とするため、
望む地位に就くために、様々な陰謀を実行する。

「我の目的を果たすには、それなりの地位が必要だ。
 摩り替わるか、蹴落とすか…・、何にしても面白そうだ。ハハハッ!」


D ボスキャラの動機
1D10 動機 説明
野望

全て自分のためであり自分の野望を叶えるためだった。

「ククク……。もう少しだ、もう少しで私の望みが叶う。
 そのためならば豚どもが何匹死のうと知った事か!」

忠誠

自身のためだけでなく、自身が属する組織や国家の忠誠心によるものだった。

「ククク……。これで我等はさらなる力を得る事ができる。
 此処は何者にも侵されぬ理想郷となろう!」

娯楽

暇だったから、退屈しのぎ、ただの戯れなどの愉快犯であった。

「ククク……。良い声で鳴き、良き声で喚くものだ。
 これだからこの世は飽きぬわ!」

独善

独善的で独裁的な非常に強い使命感によるものであった。

「ククク……。この事が成れば、この煉獄は我が統べる千年王国となり、
 さらなる繁栄を謳歌するに違いない!」

復讐

自身をかつて破滅に追い込んだ存在への復讐のためだった。

「ククク……。あの時の借し、今こそ利子をつけて返して貰おう。
 破滅と滅亡という利子でな!」

報復

自身にとって大事な存在を破滅に追い込んだ存在への報復のためだった。

「ククク……。あやつは今も我の耳元で叫び咽いでおるわ。
 安心しろ、その無念は我が必ず果たしてやろう故に!」

暴走

自身の力が暴走した結果であり、当人はこれを防ぎたいと思っていた。

「ククク……。我もこの素晴らしい力を持て余してしまってな……。
 本意ではない、本意ではないのだよ!」

保護

自身にとって大事な存在を何かから守るためだった。

「ククク……。あれには何人も近づけさせるものか。
 手を出す者は我が地獄を見せてやろう!」

救済

自身にとって大事な存在が破滅の危機に陥り、これを救済するためだった。

「ククク……。一時はどうなる事かと思ったが、何とかなりそうではないか。
 あれは素晴らしい価値がある。みすみす失わうものか!」

10 偏愛

一部のPCやその周囲の存在に強い慕情を
抱いてそれが暴走し、狂気に堕ちた結果であった。

「ククク……。我の愛によりあれは至上の幸福を得る事ができるのだ。
 そう、我だけが、あれを幸福にできるのだ!」


E 事件に巻き込まれる友好的なNPC(ヒロイン)の望み
1D10 素性 説明
狂気

ヒロインは何かしらの狂気に蝕まれ、それに甘受している。
ヒロインを狂気から解き放つには、事件を解決せねばならないだろう。

「どうしてそういう事を言うんですか……?
 あの人は、ホラ……。そこに、いますよ……?」

堕落

ヒロインは、この事件に対して背徳的な好奇心に包まれている。
理性が好奇心に釘を刺すが、抑圧された欲求は、やがて溢れ出てしまうだろう。

「これが、本当の私の望み……?
 そ、そんな事って……!」

金銭

ヒロインは、何かしらの理由で大金を必要とする事態に陥っている。
この事件を上手く利用すれば、目下必要な大金が手に入るだろう。

「まずい、このままだと破産して、どんな事になるか……。
 でも、この機に乗じれば、この程度の借金なんてすぐに……!」

復讐

ヒロインは、今回の事件に関わる事で、大切な存在を失っている。
この事件の解決は、ヒロインの無念を晴らす事に繋がるだろう。

「……貴方に、始末して欲しい人がいます。
 あの憎き人でなしを、この世から肉片も残さず消し去って下さい。」

生還

ヒロインは、事件に巻き込まれた事で生命の危機に直面しており、
事件が解決しなければ、その儚い命を散らしてしまうであろう。

「どうして、どうしてこんな事に……。
 お願い、お家に返してよぉ……っ!」

救出

ヒロインの身内が事件に巻き込まれ、その者は何かしらの危機に陥っている。
事件が解決しなければ、ヒロインの大事な存在は失われてしまうだろう。

「あの人が、連れ去られてからもう一週間……。
 お願いします、あの人を、助けてください……っ!」

権力

ヒロインは、事件を利用して自らの社会的地位の引き上げを狙っている。
事件が解決できれば、ヒロインの出世は確定されると見ていいだろう。

「今回の騒動、上手くすれば爵位の穴が開く。
 そうなれば、その空いた枠に、私が転がり込む事だって……ふふ。」

取得

ヒロインは、事件の現場の真っ只中に、自らが求める何かがあると確信している。
それを得るには、自らが赴くか、あるいは、その世界のプロに頼むのが一番だ。

「あれが全て悪いんです。あれが、ここにあるから、こんな事が……!
 あんなもの、この世界にあっちゃ、いけないんです……っ!」

任務

ヒロインは、ある任務遂行の為に、事件の渦中に立っている。
一人では厳しそうな状況の中、交渉の余地がありそうな魔女たちが現れた。

「待って、私は敵ではないわ!
 取引があるのだけど、どうかしら?」

10 探究

ヒロインは、この事件を自らが求める知識を得る絶好の機会と見ている。
事件に隠された禁忌の知識を求める好奇心が、その身を突き動かしている。

「この事件、あきらかに常軌を逸していて、異常過ぎます!
 何故、こんなありえない事が起こっているのか、調べないと!」


F PCのシナリオ関与の動機
1D10 関与 説明
利用

この事件はPCの願望を満たすための踏み台に使えるだろう。
利用しない手はない。

好敵手

ボスキャラはPCにとって決着をつけるライバルであり宿敵だ。
この事件もきっと彼(彼女)が絡んでいるに違いない。

友情

PCは直接この事件に関わってはいないが、
知り合いがそれに巻き込まれた。
危なっかしいので手伝う事にしよう。

命令

PCは直接この事件に関わってはいないが、頭が上がらない相手から
この事件に絡む何かに頭を突っ込むよう言われてしまった。

目撃者

PCは事件の現場に遭遇してしまった。
運良くその場から離れられたが、
目撃者として追われるかもしれない。

調査

PCは事件のことを知人や同僚づてに聞いて知った。
この事件なにかキナ臭い。気になるので事件の調査に乗り出した。

報復

事件にPCの友人や家族が巻き込まれた。
この理不尽な事件を起こした犯人に対して貴方は復讐を誓った。

自衛

PCは何故か不幸にも事件に巻き込まれた、
というより自分が明らかに狙われた。
振りかかる火の粉は払わなければならない。

玄人

PCはこの手の事件を解決するための訓練や実戦経験を積んでいる。
今回の事件も貴方にお鉢が回ってきそうだ。

10 心配

PCは知らないが、この事件の関係者はPCの大事な存在だ。
最近、彼(彼女)の様子がおかしいように思う。何かあったのかもしれない。

 

 

 10,関係トラブルチャート
1,ままならぬ人の心

様々な事情を抱えた人間が共に行動している場合、
何も事件が起こらないはずもない。

それは相手に改めて好意をもつポジティブな事もあれば、
相手を嫌悪してしまうネガティブな事もあるだろう。

それによって、以後相手との関係が以前と違ってしまい、
立ち位置が変化して気がつけば取り返しが付かない状態になっているかもしれない。

これはそういう上PC達の中で巻き起こる人間関係の変化を
シナリオのスパイスとして行うのがこのチャートである。

キャラクター間の人間関係については、「シナリオ進行ルール」の項にある
「関係チャート」で予め関係を結んでおくのもいいだろう。

この「関係」チャートは魔女だけでなく人間の集団や、
魔女と人間の共同作業においても刺激を与える要素となるだろう。
 


2,チャートの使い方と関係の解釈

まずPCの間で番号をつけるが、これは任意で構わない。
次に番号順にこのチャート振っていき、最後の番号の者は
最初の番号の者へ関係を結ぶ事になる。

例によって1D10でチャートを振るダイスロールと、
任意に指定するチョイス、どちらでチャートを適応しても構わない。

そうして出目で指定された結果をシナリオに反映させる事で、
小さなドラマや大きなドラマに繋がる布石が生まれるかもしれない。

例えば、既に慕情の関係を結んだ相手に
「深くなる友情」を引当れば、関係が「慕情」から「友情」に変化するが、
これをどのように捉えるのかはPLの解釈次第となる。
恋心と思ったのは友情の勘違いだったと思ったり、
友情を深める事で惚れ直し、より相手に強い好意を持った等として、
複数の関係を同時に適応させてもよい。
 


3,チャートを行うタイミング

GMがPCにチャートを行わせるタイミングは、
拠点から目的の地点へ向かうために旅を共に往く際に行うといいだろう。

既に関係を築いている知人同士であれば、
シナリオ開始前やオープニングフ開始時に行ってもいいし、
エンディングの語らいで行っても構わない。

仲間たちの関係の変化はTRPGというゲームにおいて
大きな楽しみの一つであろうし、特に複雑な事情を持つPC達であればなおさらである。
ただし、一度のシナリオでそう何度も関係が変動するのも違和感があるだろうし、
ある種のクドさでセッションに水を差してしまったり、
ロールに費やす事で時間が超過するという問題も出てくるだろうから、
チャートの使用は1シナリオに1回、多くて2回に留めておく事を推奨する。
 

1D10 トラブル 人間関係の説明
滾る火照り

貴方は相手の側にいる内に魅了され、情事の妄想にふけるようになる。
相手に向ける貴方の関係が「欲情」となる。

繋がる魂

貴方は相手をどうしても他人とは思えなくなってきている。
相手に向ける貴方の関係が「縁者」となる。

深くなる友情

貴方は相手との付き合いを以後も続くように思い始めている。
相手に向ける貴方の関係が「友情」となる。

燃える自尊心

貴方は相手の何かしらに激しい対抗心を見出してしまった。
相手に向ける貴方の関係が「対抗」となる。

助けあう関係

貴方はふと襲来した危機を相手に助けられた、
あるいは相手の危機を助ける事となった。
相手に向ける貴方の関係が「貸借」となる。

憐憫の瞳

貴方は相手に対して哀れみの同情を向けている。
相手に向ける貴方の関係が「同情」となる。

言葉の売買

貴方はふとした事で相手と言い争いになり、やや険悪になった。
相手に向ける貴方の関係が「悪友」となる。

過ぎた手助け

貴方は相手がとても自分なしでは
やっていけないのではないかと思い始める。
相手に向ける貴方の関係が「干渉」となる。

想いの橋架け

貴方は相手に秘めたる想いを抱き始めている事に気がついた。
相手に向ける貴方の関係が「慕情」となる。

10 仄かな違和感

貴方は相手に次元を超えた何かを感じ、その衝撃に身を震わせた。
相手に向ける貴方の関係が「前世」となる。

亀裂の侵食

貴方は相手を警戒し始めた。
それはやがて相手を打ち倒すべきだという確信に至るだろう。
相手に向けるあなたの関係が「敵意」となる。

 

 

 11,拠点チャート(ロール&チョイス)
新たな拠点

[拠点と黒山羊を含む公式NPC]に拠点となる
村、町、都市を用意しているものの、その数は少ない。
GMは他の拠点を舞台にしたいと思う事もあるだろうし、
PCの拠点にあいそうな場所がないとやや不満を持つPLもいるだろう。

そこで以下の「簡易拠点作成チャート」と「特産品チャート」を使い、
独自に拠点を作成する事で、作成した拠点を舞台にシナリオを行う事ができる。
 


地理情報

拠点を設定するにあたって、シナリオに大きく関係するだろう
拠点の場所だが、あえてその情報はルールでは決定しない。

同時に、世界地図もシステムでは用意せず、公式拠点も含めて、
GMは拠点の位置や地理情報を、自由に設定できるものとする。
これは、地理情報を入れると、都市間の移動に「食料」「時間」「距離」等の
複雑に絡みあう要素が、進行と処理の負担になると想定するからである。

よって、プルガトリウムは「ヨーロッパ」と呼ばれる地域を指し、
教国首都はスイスのベルンの位置に在ると想定している、という事のみ記しておく。
システムにおいて都市間の移動等に強く影響するものは、
現実のヨーロッパの地図、そして「物流」の数値を参考にして設定して欲しい。
 


商人の足跡

「物流」はその拠点で購入できるアイテムや利用できる施設の最大価値を表し、
高いほど高額なアイテムやサービスを受けられる。
また、この物流は商人がどれほど活発に取引を行っているか、
あるいは人の流動があるか、其れが可能なインフラがあるかを表している。

拠点に存在する施設の仔細については、拠点の統治者の身分や
拠点の「物流」を施設利用価格と比較し、GMが任意に有無を判断してほしい。

PCがシナリオ外に購入するアイテムは、滞在する拠点の物流に
必ずしも従わなくてよいが、通常なら流通しない価値のアイテムを
PCが取得しているという事は、何かしら人目をひく事になるだろう。
 


敵か味方か

拠点の規模が大きくなるほど、カヴェル教団の監視の目は強くなる。
拠点にて、魔術の行使を目撃され、目撃者を放置した場合、
指名手配を受けたかの[幸運判定]にて、その目標値に
魔術で指定された数値だけでなく、「節穴点」で指定された修正値が加算される。

「節穴点」は、教団勢力の警戒網の度合いを示す指針であり、
節穴点が低ければ低い程、その拠点は、魔女たちの勢力下にあるか、
あるいはカヴェル教団と敵対する第三勢力の勢力下にあるとなるだろう。


都市の顔

独自拠点に住むNPCについては
「チャート早見リンク一覧」を利用して簡易に設定を固めていくのが楽だろう。

その際、魅力や性癖の数は、NPCの重要度が低いなら1種類、
それなりであれば2種類、大きく関係するなら3種類としておくとよい。
補足として、施設は拠点の統治者が利用出来る範囲の施設が基本として存在しているとする。
 


1D10 規模 節穴点 物流 特産数 拠点の説明
廃村 通報
されない

もはや誰も住んでいないに等しい村。
家屋は年月などで倒壊し、人の住む気配は無い。
残った家屋に訳ありの者達が住み着いている程度であり、
物流はなく、基本略奪や狩りが生活の基盤となる。
国もこの村を放棄しており、税を徴収しにくる者もいない。
この廃村で建設できる自宅は「ボロ小屋」のみに限られる。

過疎村 修正
+40

人々が去り、存続が危ぶまれる村。
多くが戦火や立地の不便さによって去る事が多く、
残っている者が訳ありが多い。
人がいない村を見捨てた商人も多く、
アイテムを購入する場合は、購入を試みる毎に
[幸運判定]に成功する必要がある。
国はかろうじてこの村を領地として認めているという具合で、
税の見込みのないこの村に徴税人は滅多に来ない。
この過疎村では身分15までの自宅を建設する事が出来、
村長は「二階建て家屋」の自宅を持てる。

修正
+20

村として狩りや田畑の作物の栽培で成り立っている集落。
住民は低位階級で占められており、文盲も多い。
この村では身分30までの自宅を建設する事が出来、
村長は「三階建ての屋敷」の自宅を持てる。

宿場町 修正
+10

馬車駅が目印の村と町を繋ぐ中継地。
住民は低位階級が多くを占めるが、
店で働く者達は中位階級が多く文字を読める者が多い。
この宿場町では身分45までの自宅を建設する事が出来、
町長は「三階建ての屋敷」の自宅を持てる。

修正
+5

宿場町が発展し、並の町にまで成長した集落。
住民も中位階級の者達が多くなってきており、
文字が読めない者が少数派になる。
この町では身分60までの自宅を持つ事が出来、
町長は「門構えの屋敷」の自宅を持てる。

発展町 修正
なし

町がさらに発展し、都市直前にまで成長した集落。
住民も中位階級が大半を締め、将来性に目をつけて
店を持つ商人などの高位階級の者達も増え始める。
この発展町では身分60までの自宅を建設する事が出来、
町長は「門構えの屋敷」の自宅を持てる。

中継都市 修正
−5

都市と町を繋ぐ動脈の如き集落で、貴族の領主が治める。
馬車駅は小規模ながら、あちこちに散在している。
住民は中位階級が占め、そこから高位階級と
繋がりを持ち、家名を上げていく者も増え始める。
この中継都市では身分60までの自宅を
建設する事が出来、領主は「立派な城」の自宅を持てる。

都市 修正
−10

中継都市からさらに発展した、
領主の城を囲む城下町の、国にとっても重要な領土である。
高位階級だけでなく騎士階級もそれなりに増え始め、
社交界が開かれるにまで発展している。
この都市では身分60までの自宅を建設する事が出来、
領主は「立派な城」の自宅を持てる。

大都市 修正
−15

都市からさらに発展し、領主の城も
豪奢な宮殿となり、城下町も美しい情景を持つ。
貴族階級と高位階級の主要拠点であり、公爵位の大貴族と
枢機卿の聖職者のみが統治する事を許されている。
この大都市では身分75までの自宅を建設する事が出来、
領主は「豪奢な宮殿」の自宅を持てる。

10 首都 修正
−20
10

国家の首都であり、支配者である国王や
教皇が拠を構える中枢都市である。
それだけに街並みは威厳在る豪奢な建築物や
大聖堂が立ち並び、競技場や大劇場なども存在する。
この大都市では身分90までの自宅を建設する出来、
国王は「後宮付き宮殿」の自宅を持てる。


名物に美味い物ありや?
特産品は拠点を維持する重要な資金源とも言うべきものであり、
データ的には意味はないが、フレーバーとしてシナリオに利用できるだろう。

出目で指定された数字のものが、領主の領土内で
有名な主な特産品となり、拠点の特産数だけ特産品を所有できる。

特産品が重複した場合、特産品はさらに良質なものとして扱い、
2個重なればプルガトリウム全域、3個重なれば他国にも響き渡る特産となる。
 

1D10 特産 特産係の説明
娼婦

美しい女が多く住むと有名で、その女体を求めてやってくる者が後を絶たない。

芸術

時代の先を往く芸術の探求が盛んで、高名な芸術家や
デザイナー、建築家を多く世に出している。

ワイン

良質の土壌から生産される葡萄を素材に、乙女の足とその他の技術と
器具で加工して造られるビンテージワインの名産地として有名である。

果実

豊穣な土壌にあり、周囲の森では食品や嗜好品として利用出来る
様々な果実が実っており、果実の輸出や、果実をつかった料理等が有名となっている。

食品

穀物が大変良く育つ土壌にあったり、海産物が豊富な湖や海辺に位置しており、
そこから得られる良質の小麦や魚介類が特産品となっている。

毛皮

動物が多く住む森に隣接しており、その森に住む良質の
衣装や鎧の素材となる毛皮が特産品となっている。

家畜 豚や牛、鶏などの家畜を養殖するのに適した立地にあり、
それらの家畜を素材にした肉や乳製品などが特産品となっている。
観光 疲れを癒す温泉や、荘厳で雄大な景色を一望できる立地と
清潔な河川や水辺がそのまま不変の特産品となり、観光地として賑わっている。
鉱石 武具や資材に利用できる鉄や銅が取れる鉱山があり、
その採掘された様々な鉱石が特産品となっている。
10 宝石 人々を魅了する美しい宝石類を算出する鉱山などがあり、
採掘された原石やそれを加工した装飾品が特産品となっている。

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