信仰の対象である魔族は、人間の社会の中で支配階級に当たります。そのため、人間を導き、人々を統治するのは、魔族の重要な義務でもあります。人間としても、過酷な環境から魔族の保護下に入らざるをえないので、魔族による人間の統治は絶対であり、人間は補佐に留まるのが常となっています。 しかし、魔族が絶対の支配階級で、個体差としても力量に差がありすぎるとしても、魔族が人間を虐殺する事は許されませんし、多くの国では大罪と扱われます。邪神、祟り神、魔王として歴史に名を残す程の悪逆を行った魔族も存在しますが、そういった魔族は、強固な信仰に支えられた他の魔族に敗れ去っています。 何故なら、恐怖や絶望といった邪悪な信仰は、確かに魔族を強化しますが、それらは信頼を基盤とする信仰とは逆に、苛烈な虐待、虐殺行為を容易に誘発し、その結果、力の源である崇拝者の数が激減し、結局自滅へと至ってしまうからです。 このため、魔族統治下の国家の大半は人間に友好的であり、国家の方針も、国民の大半を占める人間の要望にそったものとなります。これは大国である皇国では「武士道」、帝国では「騎士道」と呼ばれています。 |