【 国家の解説 】 
 
合衆国》 《帝国》 《皇国》 《教国》 《その他の国
 
《 合衆国 》
 
◇ 魔族と自由の国

 合衆国は、選挙によって大統領に選ばれた魔族が統治する新興国家です。新天地を必要とした決死の開拓団が「戻らずの荒野」を開墾し、建国した経緯を持ちます。特定の系譜の魔族が常に支配者であり続ける習慣を持たない合衆国は、様々な魔族が入り乱れ、人々も自由を謳歌する独特な国風を持っています。

 
◇ 寛容な国民気質

 人種や系譜もバラバラな、多種多様な魔族や人間達が集っている合衆国では、様々な文化や価値観の交流に満ちていると同時に、衝突が起きやすい環境でもあります。このため、無駄なトラブルを避けるために、相手の価値観を尊重する風潮があります。こうした事から、魔族と人間の関係も、友人づきあい的な感覚の者が多いようです。

 
◇ 合衆国の発展度

 上下水道は首都のみ整備されており、他の地域は井戸や川を利用しています。発電所も首都にのみ存在し、電気が通るのは首都周辺に限られます。よって、首都は比較的発展し、近代都市としての機能は持っていますが、その他は未だ開拓時代の前時代的な状況のままとなっています。

 
◇ 帝国に対する国民感情

 帝国への感情は、開拓団の母国という関係上、非常に友好的です。帝国の銃器や兵器は、開拓の友として大いに役立った事も大きな要因です。反面、帝国の窮屈さに嫌気がさして合衆国に流れた者も多数存在します。

 
◇ 皇国に対する国民感情

 何処か歪んだ皇国観のおかげで、皇国への感情は非常に友好的です。特に、ゲイシャ、ニンジャ、サムライという、世界最強の殺し屋部隊の好評判は、当の皇国が逆輸入して小説や劇にしてしまう程に大ブームとなっています。

 
◇ 合衆国周辺の危険地帯

 合衆国が建国された土地は、以前は「魔境」と呼ばれていました。それは、巨人とアンデッドという、宿敵達の支配地と隣接しているからです。開拓団と民兵、そして同盟国の援軍による、決死の開拓作業の末に、合衆国は国家としての基盤を「魔境」に作る事に成功しましたが、巨人とアンデッドそのものが消え去ったわけではありません。つまり、合衆国の周囲全域は未だ、巨人とアンデッドが跋扈する危険地帯なのです。

 
 
《 帝国 》 合衆国》 《皇国》 《教国》 《その他の国
 
◇ 天使と紳士の国

 帝国は天使の王である聖王が統治する、合衆国から西方にある大国です。技術に優れており、人類の主流の武器となっている銃器や兵器は、帝国が発祥です。この国の主要な魔族は天使であり、彼らは「騎士道」という信義を持ちます。騎士道を貫く天使は、男性では「紳士」、女性では「淑女」と呼ばれ、慕われています。

 
◇ 真面目な国民気質

 真面目な天使が統べる国だけあって、規律の尊守と勤労を美徳とする者が多くいます。そして世界をリードする大国の自尊として、礼儀作法も重視されます。その堅苦しいまでの秩序の反動か、時折、突飛な奇人変人もよく輩出しています。

 
◇ 帝国の発展度

 帝国は人類圏で最も発展した国家であり、首都だけでなく、帝国を繋ぐ主要都市も電気の恩恵を受ける事が出来ます。上下水道も都市部では完備されており、文明的な生活を送る事が出来ます。

 
◇ 合衆国に対する国民感情

 絶望の荒野を切り開いて建国された合衆国への国民感情は非常に良好です。皇国との同盟だけでは手が届かなかった前線の穴を塞ぐ事が出来たからです。合衆国の発展は帝国にとっても意義のある事なので、良好な関係は以後も続きそうです。

 
◇ 皇国に対する国民感情

 皇国に対する帝国の感情は、同盟国という関係を除くと、色々と複雑です。というのも、皇国の豪快な国民性は、堅物な帝国の国民性とは相性が悪いからです。ただ、皇国の職人の人気は高く、文化交流が盛んで、こういった面の関係性は良好です。

 
◇ 帝国周辺の危険地帯

 帝国の領土は、巨人の支配階級「タイタン」が支配する「巨人の丘」と隣接しており、古来より、天使は腹を空かせて押し寄せてくる巨人の群れと戦ってきました。

 そして、格闘戦に優れる巨人の対抗策として、銃器が発達してきた経緯を持ちます。巨人は今も積極的に帝国や合衆国へ攻勢をかけ、各国へ多大な被害を与え続けています。

 
 
《 皇国 》  合衆国》 《帝国》 《教国》 《その他の国
 
◇ 龍と侍の国

 皇国は、龍人の王である龍皇が統治する、合衆国から東方にある大国です。独特でありながら機能美に長けた文化様式を持っており、特に「刀」が有名です。この国の主要な魔族は龍人であり、彼らは「武士道」という信義を持ちます。武士道を貫く龍人は「侍」と呼ばれ、武人の鑑として慕われています。

 
◇ 粋で鯔背な国民気質

 龍人の統治下にある皇国では、仁義を尊ぶ者が多く、粋である事が好まれます。祭好きな国民性で、街には様々な娯楽が溢れて、歓楽街は平日も人で賑わっています。反面、悪乗りが過ぎて面倒を起こす者も多く、喧嘩を楽しみにする野次馬も有名です。

 
◇ 皇国の発展度

 皇国は古来より自然を活用した文化様式を重視してきた故か、大国でありながら、電気や水道が整備されているのは首都と軍事施設に限られます。これは、技術を疎かにしてきたわけではなく、不意に出現するアンデッドの襲撃により、帝国のように発電所や上下水道を主要な箇所へ整備するのが遅れているからです。そのため、皇国の建築物は、未だ中世の名残を強く残すものとなっています。

 
◇ 合衆国に対する国民感情

 合衆国への感情は、帝国と同様の理由でかねがね良好です。そして、合衆国の建国の成功と荒野の冒険譚は、皇国の民にとって心躍るものでした。侍等が魔改造されてブームになっている事に関しては、笑って受け入れています。

 
◇ 帝国に対する国民感情

 帝国への感情は、同盟国という良好な関係を除くと、色々と複雑です。というのも、帝国の真面目過ぎる性質は、祭好きの民にとって面白みに欠けるからです。しかし、何だかんだ言いつつ技術革新を続ける帝国には敬意を払っています。

 
◇ 皇国周辺の危険地帯

 皇国の領土は、アンデッドの王ヴォイドが支配する「死の荒野」に隣接しており、古来より、ヴォイド率いる吸血鬼やアンデッドと凄絶な戦いを繰り返しています。アンデッドは人里にいつの間にか現れるため、射撃武器は誤射が問題となりました。そこで、刀により一太刀で叩き伏せる、一撃必殺の白兵戦が発達してきたのです。死の荒野の吸血鬼達は今は積極的な攻勢をかけてはいませんが、湧き出るように出現するアンデッドの群れという脅威に、皇国は今も苛まれています。

 
 
《 教国 》  合衆国》 《帝国》 《皇国》 《その他の国
 
◇ 邪神の王国

 教国は、支配者である教皇サタンによって統治される独裁国家です。サタンは天使の系譜を持つ強力な邪神であり、その性質は正に暴君そのものです。

 サタンは、人間は愚かで罪深き存在であり、人類の苦難は「天罰」であると説きます。この天罰から開放されるためには、「贖罪」を果たさなければならないと言いますが、贖罪とは、サタンの奴隷となり、死ぬまで重労働に耐え続けるという理不尽なものです。

 このような独裁国家に好んで住む者はめったにいませんが、教国の支配地域にある集落は、奴隷として生きる以外に生き残る術を持てず、また、労働力として誘拐され、教国の住人となる不幸な者も少なくありません。サタンの「奴隷牧場」の運営手腕の能力は高く、人口は増加の一途をたどっています。

 
◇ 非情の制裁者

 教国の支配者であるサタンは、自らに歯向かう存在を決して許しません。そうした者を「異端者」に指名し、これを打ち滅ぼす事を「制裁」として行います。このため、教団の武力執行部隊は「制裁者」と名付けられ、恐れられています。これらの主力は哀れな人間達であり、無謀な突撃を命令され、戦場へ散っていきます。

 
◇ 教国の発展度

 教国の技術は、民衆の苦しみと引換に、比較的高いレベルへと引き上げられています。というのも、彼らは近隣から奪った武具や兵器を、自国でも量産できるように、他国の技術者を拉致し、その技術をコピーする事によって、それを実現しているのです。

 文化面での発展に関しては、サタンが天使の系譜である故か高水準となっています。もっとも、それは建築物や衣装といった外面にのみ適応され、その他は酷い有様です。教国賛美の活動しか認められず、その他は退廃的として弾圧の対象となっています。

 
◇ 他国に対する国民感情

 国民は、サタンが起こす独特な奇跡により、サタンを崇拝するように洗脳されています。故に、教国の国民は、サタンの敵である存在を、自身の仇敵のように認識します。

 
◇ 他国からの評価

 ほぼ全ての国家から、教国は交戦国として扱われており、教国も他国をそう認識しているため、紛争が発生する事も珍しくありません。サタン討伐を望む声は常にあり、各国ともそれを必要と認識していますが、巨人やアンデッド等の襲撃によって、討伐軍の派遣が困難な状況となっています。

 
◇ 教国周辺の危険地帯

 教国の支配領域そのものが「悪夢の檻」となっているため、教国周辺は、常に致死的な危険に満ち溢れています。

 
 
《 その他の国 》  合衆国》 《帝国》 《皇国》 《教国
 
◇ 都市国家

 複数の都市を統治する帝国や皇国と違い、単独の都市が国家となっている国です。都市国家は独自の文化や法によって統治されており、強固な要塞と化しています。

 独自の法に従いながらも、他国と頻繁に交易を行う事で国は維持されていますが、大国の庇護の薄い都市国家は、やや閉鎖的な所があり、余所者にいい顔をしません。

 ですが、それは厳しい大地で生きるために、仲間との連携を重視するが故であり、一度、信用を得て仲間と認めた相手には、最大限の友情と誠意で接してくれるでしょう。

 
◇ 荒野を走る国

 定住地を持たず各地を転々とする独特な国家が存在します。それが「ペドラー(行商人)同盟」と呼ばれる国家であり、領土は国民のテントが立つ所です。

 ペドラー同盟の国民は例外なく行商人であり、キャラバンが彼らの家族となります。同盟の商人は、通常の行商人である「ペドラー」と区別され「トレーダー」と呼ばれます。

 トレーダーは物と人を運ぶ重要な役割を担う、各国を繋ぐために欠かせない存在です。彼らにとって一番の敵は、物資を狙うモヒカン達であり、武装は常に欠かせません。しかし、犠牲や損害は絶えないため、傭兵を護衛に雇うのは常となっています。

 
◇ 今は亡国

 残念ながら、これまでに数多の国が生まれては滅んでいきました。その多くは巨人やアンデッドをはじめとする怪物やモヒカン達の襲撃により滅び、復興が断念され、残骸となった都市や集落は、そのまま放棄されました。

 無念の中で逝った人々の屍が重なりあった遺跡は、我が物顔で縦横闊歩する怪物やモヒカンが巣を作っており、非常に危険な場所となっています。

 
◇ 未だ見ぬ友

 果て無き世界には、他にも人類の生存権が残っているのだと、硬く信じられています。それは黄金郷や林檎の楽園、永遠に続く宴会の世界という伝承と共に語り継がれ、その理想郷の如き、未だ見ぬ友へと巡りあうために、開拓は推し進められています。

 開拓を遮る巨人やアンデッドという脅威がもたらす絶望に屈さず耐えられるのも、「自分達は孤独ではない」という願いと祈り、そして友情があるからに他なりません。その希望を掴みとるその日まで、人々は悪夢に抗い、荒野を切り開いて行くのです。

 
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