傭兵は非正規軍人ではあるものの、そのフットワークの軽さにより様々な状況に対処出来るため、何でも屋として古来より重宝されてきました。 しかし、無線通信のない時代では、やはり情報の遅延が命取りとなり、傭兵が現場に出向いた頃には、既に全てが手遅れでした。このため、「間に合わないのならば、せめて致命打を避けたい」と、傭兵は集い組織化していき、それが軍の始祖へと至った経緯がありました。 ですが、無線通信の開発により、情報の遅延が大幅に改善された事で、再び傭兵が注目を浴びるようになってきたのです。 国々は都市に魔族専用の傭兵業務斡旋所を設け、彼らのための寮も用意する事で、実害のある怪物の討伐や隊商の護衛等へ迅速に魔族を派遣できるようにしました。これにより、涙を呑むしかなかったトラブルの大半に対処出来るようになったのです。 信仰で存在を維持する魔族は、飢餓や病気による衰弱死に縁がありません。そこへ、堅苦しい軍の規律や配置に束縛される事なく依頼に向かえる事や、依頼遂行により救済された人々や様々な利を得た人々から信仰を得られるというのは、実に魅力的であり、魔族の傭兵化は、多くの者にとってまさに渡りに船でありました。 こうして、魔族は傭兵となり、人々は傭兵へ信頼と信用を戻していきました。 |