魔導書


「さて、と。ここかしらね。”匂い”がするのは」

「ここ…ですか?」

「匂いって何だ?何にもないじゃないか」


ここは魔界。その山中にある草木に覆われた崩れかけた崖の前。

その崖の前で、下着を纏っただけのあられもない姿をしている黒髪の少女、ゾフィ=ロッツが眼を細めてほくそ笑んだ。

首をかしげているのは、一人は体の半ばまでが足元まで延びる長い髪で隠れた傾国の美少女レイン=マグナス。

もう一人は肩と間接だけを固めてあとは全て露出している鎧を着ている、ゾフィ以上に際どい格好をした黒い翼を持つ堕天使フロシエル。

そんな二人を見てゾフィは小さくため息をついた。


「まったく… こんな丸わかりの遺跡がわからないなんて。レインはともかくフロシエルはもうちょっと勘を働かせたほうがいいわよ」

「えぇ〜、なんでレイン様だけお咎めなしで私だけ責められるんだよぉ」

「申し訳ありません…」


自分だけ責められた事にフロシエルは口を尖らせる。

レインは眼を細めてゾフィに頭を下げて謝罪した。

それを見てゾフィは再びため息をつく。


「レインは下級魔族だから仕方ないじゃない。フロシエルは下級じゃない魔人でしょう?」

「うっ…そ、それはそうだけど…」


下級魔族と魔人。それはこの魔界で魔族のヒエラルキーを表す。

下級魔族はその名の通り魔族の中では最下層に値する。

魔人は下級がとれた魔族の最下位の階級である。

下級魔族は上位の魔人以上の魔族に奴隷として使えるしかない被支配階級だ。

魔人は最下位とはいえ、下級魔族や同格の魔人を奴隷として従える事のできる支配階級である。

ゾフィもこの魔人に属する魔族で、同じ魔人のフロシエルと、下級魔族のレインを奴隷として従えている。

なお、魔界では魔人以上の奴隷を奴隷にした魔族はダークパワーと呼ばれる闇の力を手に入れ、己を強化したり、運命を改変する事ができる。

また奴隷となった魔族は、主人に対してダメージを与える行動は一切取れなくなる。

これによって主人は直接的な反抗に合うことはないが、計略を張り巡らせる事は可能なので安心はできない。

今の所、フロシエルにはゾフィを陥れようとする反抗心はないようだ。

それは恐らくレインの存在が大きいだろう。レインは下級魔族で奴隷を持つ事はできないが、その心でフロシエルを従属させている。

レインは安らぎと癒しの力を持っており、荒んだ魔界に苦しんでいる者にとって、レインは闇の中の光そのものとなるだろう。

ゾフィは反対に力と計略によって相手を支配するタイプであり、ゾフィとレインでちょうど飴と鞭のような関係になっている。


「それじゃ、貴女達にもわかるようにしてあげるわ」


ゾフィは手をかざすと、崖に向かって魔力を放射する。

すると、崖がゴゴゴゴゴっとゆれ始め、一気に土砂崩れが巻き起こる。


「が、崖が!?何してるんだよ!?」

「大丈夫です、フロシエル様」

「このくらいで怖がってるんじゃないわよ」


崩れた土砂からレインを抱えて飛んで逃げようとするフロシエルをゾフィが制する。

レインは少々驚いたものの、その場から動こうとせず、ゾフィを信頼の瞳で見つめている。

土砂が一行を飲み込もうとした瞬間、ゾフィは両手で防御結界を発動させ、土砂を目の前で分断させる。

大地を揺るがす程の地響きをたてて崩れ落ちてくる土砂や落石は、全てが結界によって弾かれ、3人に危害が及ぶ事はなかった。

土砂崩れが収まった時、結界を避けるように積もった土砂と、崖のあった場所に遺跡の入り口が姿を現していた。


「こんな所に入り口が…どうしてわかったんだ?」

「魔力がこんなに駄々もれてるのに、それに気づかないなんて、本当に呆れるわね。」

「魔力が…?  ぁ… ほんとだ… っ うっ!? …はぁ、あ…」


フロシエルが精神を集中させると、遺跡の入り口から強い魔力が流れてくるのがわかった。

しかし、即座に体が火照り、股間から愛液がとろっと流れ始める。


「フロシエル様は淫魔の鎧の呪いに蝕まれていますから…。 気づかないのは仕方ない事かもしれません」


レインはそういうと、火照った身体を捩じらせるフロシエルを抱きしめ、そっと両手を頬に添えると、そのまま唇を重ねた。


「んっ… ぁ…  はぁ…  ぁ…」


レインの奉仕によってフロシエルの火照った体が落ち着いていく。

淫魔の鎧は身に付けた者を常時発情させる呪いがかかっており、

その発情に抵抗するためにフロシエルは常に精神を張り詰めている。

しかし魔力感知を集中して行う事で、呪いに対する抵抗が薄まり、発情してしまったのだ。


「つくづく厄介な呪いね。まったく、早くリムーブカースの呪文が欲しいものだわ」


ゾフィはそう呟き、遺跡の入り口に向き直る。

遺跡の入り口と奥の通路には魔法の松明が掲げられており、明るさに不自由する事はないようだ。

もっとも、魔界に住む者は全てが暗視の能力を持つので照明があろうとなかろうと関係ないのだが。


もっとも、魔力探知だけでこの遺跡を発見できたわけではない。

ゾフィは情報屋からソウルと引き換えに未踏破の遺跡の情報を買っていたのだ。

そうでなければ、広大な魔界の中で小さな遺跡を探し当てるのは、砂漠の中で一粒の宝石を見つけ出すようなものだ。

勿論情報が真実がどうかはこうして実際に確認しなければわからない。

嘘の情報を掴まされるという事は極々普通にありうる事で、今回は運が良かったようだ。


「ま、それだけじゃないんだろうけど」


ソフィが誰に向けるものでもなく小さく言葉を漏らす。

というのも、遺跡が封印されていたままで、かつ強い魔力が漂っている、という事は、

この遺跡を見つけた情報屋が、手にあまるという理由で引き返したという事も表している。

つまり、貴重な財宝が眠っていると同時に強力なガーディアンないしはトラップが存在する可能性が高い。

ゾフィは財宝と、ガーディアンとトラップという障害の存在に胸を躍らせた。


「ダンジョンアタックはそうでなくっちゃ。さ、行くわよ」

「う、うん」

「はい、ゾフィ様」


ゾフィが先頭に立ち、二人はその後に続いて遺跡の中へと入っていった。


遺跡の通路は横に2人が並べる程度の広さで、天井も低く、

デストリアやオーク小隊を呼び出す事はできなかった。

最初は緩やかな円を描くような通路だったが、

奥に進むと定期的な距離で急な角度で曲がる通路になっていた。

ゾフィはトラップを感知、解除しつつ奥へと進んでいく。

最初はたいした事のないトラップばかりだったが、奥に進むにつれてその感知の難度は上がっていった。


そしてさらに奥へと進んだゾフィ達の目の前に、扉が現れた。

扉の左右には通路が続いており、どちらもその先はやはり急な曲がり角になっている。


「扉… 宝物庫にしては、質素かな」

「封印もされてないわね。ま、入ってみればわかるわよ」


首をかしげるフロシエルを尻目にゾフィは扉を一気に開け放った。

あらかじめ感知をしており、扉に罠がない事はわかっている。


扉の向こうは書庫となっていた。

部屋にぎっしりと立ち並ぶ本棚には隙間なく本が並べられている。

魔力を感知すると、多くの本には魔力は感じられないが、奥からかすかに漂ってくるのがわかる。


「こっちね。ってレイン、貴方何してるの?

「あぁ…本がこんなに… これはアルキラス書、こちらはメルモンテの書記、異界の伝説の書物がこんなに…っ!」

「れ、レイン様…?」


レインは本棚にすりよって取り出した本をめくっては表紙を恍惚の表情で頬すりしている。

レインは元人間で、人間界では大図書館の館長の娘として司書をやっていたというので、本は好きだろうとは思っていたが。

まるで探していた恋人が見つかったかのようなレインの振る舞いに少し呆れる。


「レインってこんな趣味があったのね。ビブリオマニアってヤツかしら」

「あぁ、でもそんなレイン様もいいです…っ!」


フロシエルが何か言っているが無視する。

狂喜乱舞するレインとそれに対して鼻血を流すフロシエルをおいて、ゾフィは流れてくる魔力を追う。

魔力の元はすぐにわかった。厳重に封印された本棚にそれらの書物はあった。


「ふぅん。さしずめアンコモンの呪文書ってところかしら」


アンコモンスペル。それは魔界でも希少な魔法であり、その効果は絶大なものの消費が大きく扱いが難しい。

さらに上位にはレアスペルというものも存在するが、それは魔界に一冊存在するかしないかという超貴重品である。

目の前に感じる魔法の書物は二冊。本棚の封印を解除し手に取ろうとした瞬間、ゾッとする感覚がゾフィを襲う。


「危ない危ない。財宝にトラップを仕掛けるのも常套手段よね」


罠を調べた所、ドッペルゲンガーと成長ガスのトラップとわかった。

ドッペルゲンガーは罠にかかった者の能力と姿を写し取った魔法生物を召還するトラップで、

呪文や強力な魔法の武具は使用できないものの、魅了や陵辱による調教を仕掛けてくる。

成長ガスは対象を一時的に急成長させるトラップで、急激な身体の変化と成長により運動能力と魔力が低下する。

どちらも鬱陶しい事この上ないトラップだ。

呪文書にかけられている魔法のトラップなので、魔力で解除するしかない。

さらに解除に失敗すると呪文書が喪失するトラップまで仕掛けられている。

ゾフィの魔力ではこのトラップを解除するのは、出来ない事はないがかなり難しい。


「ま、それなら解除しなければいいのよね♪」


対処の仕方は単純だった。罠にかかっても構わない奴隷を使えばいいのだ。

ゾフィは闇の牢獄からオークを一体召還すると、呪文書を開かせる。

瞬間、オークのドッペルゲンガーが現れ、オークを成長ガスが包み込む。


「ウボァーーっ」

「邪魔」


ゾフィはドッペルゲンガーを即座にイビルブラストで消滅させた。

能力を写し取った対象が弱ければドッペルゲンガーも雑魚以外の何者でもない。

成長ガスによってオークの身体が一回り大きくなるが、やはり急激な変化によって体の動きが鈍くなる。

もっとも、オークの一匹や二匹がどうなろうとゾフィには痛くも痒くもない。

ゾフィは手に入れた呪文書を開き、中を確認する。

呪文書に記されていたのは以下の呪文である。


ボトムエラー。
その場で便意を強力に誘発する呪文である。
排便を他者に見られる事は魔族にとってプライドを粉々に打ち砕かれる事に等しい。


ストリップアーム。
対象のカースドアイテム以外の装備を全て強制解除する呪文である。
強制解除された装備は再び装着するには貴重な行動を消費する必要がある。


「リムーブカースじゃないのは残念だけど、これは持っていたら便利そうね」


リムーブカースはカースドアイテムを解除できるアンコモン呪文で、

フロシエルに使用すれば淫魔の鎧から彼女を開放する事ができる。

そうすれば発情に苦しめられる事もなく足手まといにもならないだろう。

欲しかった呪文でない事に少々落胆するが、ないものは仕方ない。

それに仮にもアンコモン呪文が一度に二つも手に入った事は喜ぶべき事だ。

ボトムエラーはプライドの高い魔族に屈辱を味合わせる事に威力を発揮するし、

ストリップアームは重装甲の魔族相手と戦う際には非常に有効だろう。


「ま、ここはこんなものかしら」


他に魔力を放つ呪文書はなく、奥に扉や通路もないようだ。

ここにいても仕方ないのでレイン達の下へと戻っていく。


「レイン… 何してるの?」

書庫の入り口に戻ったゾフィの口から再び呆れた声が漏れる。


「あ、ゾフィ様っ その、これは…っ!」

「レイン様、こちらの本は暗き深遠のモノについて書かれていますよ!いあいあはすたぁ!」


レインは本棚から本を取り出すと凄まじい速さでページをめくり、

読み終わると恍惚の笑みを浮かべながら闇の牢獄の中に本を転送していた。

ただそれだけならば問題はないが、その本の量である。

闇の牢獄を覗いてみると、異空間にある豪奢な部屋が大量の本で埋め尽くされている。

レインの部屋はぎっしりと本で埋め尽くされており、横になるスペースもない。

フロシエルはレインと一緒になって本に夢中になってまた妙な事を口走っている。

何か狂気に蝕まれているんじゃないかという気もするが、本からは魔力は感じられないので問題はないだろう。


「まさか、ここにある本全部持っていくつもり?」

「い、いけませんでしたか…?」

「い、いえ、別にダメって事はないけれど…」


闇の牢獄の中は異空間なので収納スペースはいくらでも作り出せる。

レインの部屋が本で埋まっているのは、それでも自分のものは自分の部屋で管理したいという心からだろう。

恍惚の表情を浮かべるレインを見ていると、本に埋もれたいという欲望が見え隠れしている気がするが。

結局、書庫からでる時には、本棚は全て空となっていた。


「さ、次はどっちに行こうかしらね」


書庫から出て左右の通路を見回す。

魔力を感知すると、右側から強い魔力を感じ取った。

しかもこの魔力は呪文書のものとは違っている。恐らくはモンスターだろう。

左側からは弱い魔力しか感じることはない。こちらは魔力が弱くアイテムかモンスターかは識別できない。


「メインディッシュは右側かしら。なら、前菜を頂かないとね」


ゾフィは左側の通路を眺めてぺろりと舌舐めずりをした。

左側の通路を罠に気をつけて進んでいくと、小部屋にたどり着いた。

その小部屋は子供部屋のようで、積み木などの玩具が転がっている。

魔力は感じられるが、何かがいる様子は感じられない。


「またアイテムかしら」


ゾフィが部屋に一歩踏み入れる。

机の上に、子供のらくがきのような地図が置いてある。

幾何学的な迷路の奥に、宝箱と、本を持った下手な女の絵が描かれている。

ゾフィがその地図を手に取ったその瞬間、

ベッドの陰に気配を消して隠れていた何者かがゾフィの脇を駆け抜け、同時に、レインの叫び声があがる。


「レインっ!?」

「レイン様っ!?


ゾフィは振り向くと、子供の姿をした何かがレインを担ぎ上げて猛スピードで逃げていくのが見えた。

レインは力なくぐったりとしており、意識を失っているようだった。


ブラウニー。

子供の姿をしたモンスターで、固体の強さはオーク以下だが魔族と同じく不死性を持つ特殊なモンスターである。

見たまま子供の性格で非常に無邪気で好奇心が強く、

気に入った者を好奇心のまま陵辱するという悪戯を通りこした性質を持つ。

集団で遺跡で生活しているという事もあるらしいが、この遺跡では単独のようだ。


「ちょ、待ちなさい!!」

「やだー、またなーい♪」

「レイン様ぁーーっ!!」


凄まじいスピードで逃げていくブラウニーをゾフィとフロシエルは必死に追いかけるが、全く追いつけない。

すぐにレインとブラウニーは姿を消して行方をくらませてしまった。

まさかブラウニーにレインを浚われるとは。

レインは大事な奴隷であると同時に、高い癒しの力を持つ貴重な下級魔族である。

レインがいなくなるという事はいざという時に消耗を回復する事ができない事に繋がる。

ブラウニーの放つかすかな魔力を追いながら、ゾフィはきゅっと親指の爪を噛んだ。

そして曲がり角を曲がった瞬間、ガコンッと音を立ててゾフィの足元の床がなくなった。

落とし穴のトラップだ。


「しまっ…!」

「ゾフィッ!!」


フロシエルの伸ばした手がゾフィの肉蛇をがしりと握りこみ、

そのまま翼を羽ばたかせ、落とし穴を飛び越える。

先に召還しておいたオークがそのまま落とし穴に転げ落ち、悲鳴を上げる。


「ちょ、痛いじゃない!」

「今はそれどころじゃないだろう!?」


ゾフィが落とし穴の底を見ると、ペニス型の触手が精液のような白濁液を噴出しながら大量に蠢いてた。


テンタクルス。

性欲本能しか持たないこのモンスターは魔界ではもっとも有名な陵辱者だ。

近くにいるものを陵辱する事しか考えないテンタクルスは調教を受け付けず、また生命力も高い。

触手による拘束をうければあらゆる行動が阻害され陵辱に抵抗する事が難しくなる。

落とし穴の底にいるテンタクルスの数は恐らく中隊規模。

落とし穴に落ちればゾフィといえどただではすまなかっただろう。

テンタクルスの群れは落ちてきたオークに次々と絡みつき、ずぶずぶと触手の海に飲み込んでいく。

落とし穴の底からオークの絶叫が木霊した。


フロシエルがゾフィと共に床に着地する。

肉蛇の付け根が痛くてじんじんする。


「助けるなら蛇じゃなくて手をとりなさいよ」

「そんな余裕なかったんだよ」


お尻をさすりながらゾフィはフロシエルを半眼でねめつける。

が、すぐに腕を組んでそっぽを向き、フロシエルから顔を背けた。


「ま、まぁ。 でも…     ありがと」

「え?」


ぼそぼそっと小さな声で頬を赤らめながら呟くゾフィ。

その言葉に最初は驚いたフロシエルだったが、

赤くなった顔を自分からそむけているゾフィを見て、くすりと笑みがこぼれた。


「な、何よ。ともかく、さっさとレインを探すわよ!ボサッとするんじゃないわよ!」

「はいはい」


奥に進んだ二人を待っていたのは、扉の前に陣取るソウルイーターの姿だった。

二人は角に隠れてソウルイーターの様子を見ている。


「な、なんでこんな所にソウルイーターがっ」

「知らないわよ」


ソウルイーターの背後の扉以外に他に道はない。

さしずめ門番といったところか。

いまだ通路は狭く、デストリアやオーク小隊は呼び出すことはできない。

戦うのであれば前回と違って、ゾフィとフロシエル、そしてオーク数匹のみで戦う事になる。

それもレイン無しで。

不意打ちも考えたが、ソウルイーターの高い感知能力の前では効果は薄いだろう。


「ど、どうするんだ?」


フロシエルが不安げな顔でゾフィを見る。

それも当然だろう。

先日まではソウルイーターにいいようにこき使われ、

その打倒においても呪いのせいで全く戦力に入れなかったのだ。

実際にソフィはデストリアに騎乗していないフロシエルを戦力と数える事はできなかった。

オークも小隊ならともかく、単独ではソウルイーターに対しては到底勝ち目はない。

となると。


「私はあいつと戦わない。」

「えっ!?」


戦闘を放棄したという言葉に眼を丸くするフリシエルを置いて、ゾフィはソウルイーターの前に姿を現した。

ソウルイーターはゾフィを見ると、頭の触手を動かし、楽しげな声をあげた。


「ほう、ブラウニーが浚ってきた侵入者の片割れか。ここに篭って幾百年。ようやく退屈から解き放たれるか」

「という事は、ブラウニーはこの扉の向こうにいるのね。貴方、ここで何してるの?」

「我は見ての通り、ここの門を守護するという契約をこの遺跡の主と結んでいる。
 
 お前はこの門を通りたいのか?ならば我を打ち倒すか、もしくは我を楽しませてみろ」


ソウルイーターはその丸い瞳を輝かせながら触手の先に魔方陣をいくつも浮かべる。


「楽しませる?さっき退屈と言ったわよね。何がお望み?」


ゾフィは魔方陣にひるむ事無く、微笑みながら問いかける。


「我が望むは知恵者。この遺跡は蛮勇の者になんら価値はない。だが、知恵者にならば莫大な価値がある。

 我はそれを見定める。それが契約の一つ、遺跡に眠る財宝の主人の見極めだ」

「つまり、知恵比べというわけね?いいわよ、その話乗ってあげる」


ゾフィは自信たっぷりにソウルイーターを見つめる。

ソウルイーターはそのゾフィの様子に眼を細めて楽しげに笑った。


「いいだろう。では問題だ。

 我は魔法陣にして魔法陣にあらず。我は守護にして守護にあらず。我は箱にして箱にあらず。我とは何ぞ?」


角で話を聞いていたフロシエルはソウルイーターの問題を聞いて首をかしげた。


「陣であって、陣でない…?守護であって守護でもない…?? な、なんだろう…」


フロシエルは考えれば考えるほど答えがわからなくなるドツボにはまっていった。

こんな問題わかるわけないと思いつつゾフィを見ると、相変わらずゾフィは自信満々の様子だった。


「それが問題?何よ、簡単すぎてあくびが出るわね」

「ほう?では答えを言ってもらおうか」


ソフィは笑みを絶やす事無く、答えを紡いだ。


「答えは、この遺跡そのものよ」


遺跡?それが答え?なんでそうなるんだ?

フロシエルはゾフィの答えを聞いてますます混乱した。

ソウルイーターの眼がさらに細まり、触手がうねうねと蠢く。


「ほう… 即座に正解を回答するとは…。」

「えっ!?」


フロシエルはそれが正解だと言うソウルイーターの言葉にさらに驚いた。


「さぁ。正解したならとっととその扉を開けて通しなさい」

「いいだろう。お前を資格ありと認め、財宝への扉を開放しよう」


ソウルイーターの触手の一つが魔方陣を輝かせると、扉が音もなく開いていく。


「そこの堕天使も通るがいい。契約は完了した。あとは好きにするがいい」


フロシエルは自分がとっくに気づかれていた事にびくりと身体を震わせ、おずおずっと姿を現した。

いきなり襲ってくるのではないかとソウルイーターに警戒しつつ、ゾフィの傍に歩み寄る。

しかしソウルイーターはそのまま扉から離れ、遺跡の入り口へと向かっていき、姿を消した。


「ゾフィ、どうしてあの問題の答えが遺跡になるんだ?」

「貴女って本当に頭働いてないのね。答えは問題にとっくに出てたじゃない」

「えっ!?」


問題そのものに答えが出ていたというゾフィの言葉にフロシエルは混乱するばかりだ。


「いい?魔方陣にして魔法陣にあらず。これは、今まで通ってきた遺跡の通路を上から見れば一目瞭然なのよ」

「ど、どういう事?」

「そこまで説明しないといけないの?つまり、この遺跡そのものが魔方陣の形をしているって事よ。

 でも、魔方陣の形をしているだけで、実際に魔力は発していはいない。だから魔方陣であって魔方陣じゃない。

 ここまで言えばわかる?」


フロシエルは今まで通ってきた通路を思い出し、構造を想像した。

すると、最初に歩いた円形の通路は魔方陣の外側の円陣で、

途中からの定期的に曲がりくねった通路は内部の方陣を描いていると理解できた。


「わ、わかったけど…。 じゃ、じゃあ、守護とか、箱とか、それは?」


「守護であって守護であらず。これはあくまで遺跡は財宝を護るためにあるけど、

 実際に守護するのはさっきの門番のような守護者。だから、守護であって守護であらず。

 箱であって箱であらず。これは財宝を納める箱を意味していて、

 財宝は確かに遺跡の中にあるけど、実際には宝箱の中にある。だから、箱にして箱にあらず。

 どう?わかった?」

「そ、そう言われれば、そういう風な気も…。で、でもなんだかこじつけみたいな…」

「いいのよ、正解は正解なんだから。それとも、あのソウルイーター相手に戦ったほうがマシとでもいうつもり?」

「そ、そんな事はっ!!」

「さ、ともかく扉が開いたんだから先に進むわよ」


フロシエルが勢いよく首を横にふる。

ゾフィがそのまますたすたと扉の中へと歩いていくので慌てて後を追っていった。


扉の向こうの通路もやはり一本道で、しばらくあるくと広い宝物庫へとたどり着いた。

宝物庫は中央に人が入るほどの大きな宝箱が一つ鎮座されていただけの殺風景な場所だった。

守護者らしき者の姿は無く、奥にもう通路や扉は無い。


「ふぅん、あれが財宝ってわけ?で、いつまでそこに隠れているつもり?」

「ひゃう、ば、ばれてるっ!?」


ゾフィは宝箱の隅に隠れていたブラウニーに一瞥を向ける。


「そりゃバレるでしょ。他に行く場所なんてないんだし。さ、レインを返しなさい」

「や、やだぁーーっ」

「ぅ… ゾフィ様…?」

「あ、レイン様!大丈夫ですか、無事ですか!?」


レインが宝箱の隅から頭を押さえてぴょこりと顔を出す。

服などはそのままで、陵辱などはされていないようだ。


「大丈夫みたいね?さ、こっちに来なさい」

「だめだめだめー、このお姉ちゃんはボクのー!!」


ブラウニーがレインに抱きついて引き止める。

ゾフィはそれに歩み寄ると、肉蛇をびゅるっ!とすばやく動かし、ブラウニーに絡み付いて空中に浮かべる。


「うにゃーーっ!?」

「この私からレインを奪うだなんていい度胸しているわね。その度胸に免じて奴隷にするだけで許してあ・げ・る♪」

「ひぅ、お、おねぇさまぁーー〜〜っ!たすけてぇーー〜〜っ!」

「お姉さま?」

「… まったく… しょうがないな…」


ぶらさがったままブラウニーが叫ぶと、何処からとも無く女の声が響く。

そしてバンッ!と宝箱が開くと、そこから一冊の魔導書が浮かび上がり、

次の瞬間、バラバラに分解されると周囲をページが埋め尽くしていく。

そしてページの嵐が収まると、そこには銀髪の17歳ほどの少女が立っていた。

眼は細く、瞳は蒼い。冷徹さと上品を備えた威厳をかもし出している。


グリモワール。

中位のモンスターにして魔導書の化身。

防御能力も高く、その魔導の力はソウルイーターをも遥かに凌ぐ。

全てのコモン呪文を取得しており、一度に二種類の呪文を行使する大魔導の能力を持つ難敵である。

奴隷にすればその強大な魔導力と同時に、魔導書というブーストアイテムとして使役する事ができる。


「へぇ、グリモワールじゃない。という事は、この遺跡の財宝って貴方の事なのね」

「いかにも。私の名前はイリア。この遺跡のもっとも価値ある財宝にして私自身の守護者である」

「おねえさまぁ〜〜っ」


イリアと名乗ったグリモワールはブラウニーをぶらさげているゾフィを見ると目を細める。


「その手癖は直せと言っただろう。… その子を開放してくれないか」

「嫌だ、と言ったら?」

「痛い目を見てもらう事になる」


周囲に浮かぶページがイリアを中心にして、ばさばさばさっと光を放ちながら回り始める。


「ふぅん。ま、いいわ。レインも戻ってきたし、お仕置きは勘弁してあげる」

「ゾフィ様、フロシエル様。勝手に傍を離れてしまって、申し訳ありません」

「あぁ、レイン様、ご無事でよかったっ」


ぱっとブラウニーを離すと、ブラウニーはしゅばっとイリアの背中に隠れる。

レインはゾフィの元へと戻り、丁寧に頭を下げて謝罪する。

フロシエルはレインに抱きついて頬すりをしている。


「…それで、お前たちは何者だ?ソウルイーターが散った気配はない。我の主人としての資格を持つ者か?」

「その通りよ。さ、私の奴隷になってもらうわよ。その資格が私にはあるのよね?

「然り。だが、知恵者の証明をしただけではまだ不十分」

「と、いうと?」

「我の主人にふさわしいか、今度は私自ら力で試させてもらう。蛮勇は通じぬと思え」

「結局戦うのかっ!」

「いいわよ」

「えっ!?ぞ、ゾフィ、勝算あるのかっ!?」

「勝てばグリモワールが手に入るんだもの。その程度のリスクは承知しなきゃね。」


それに、大魔導の能力は強力だが、致命的な弱点がある。

それは、”どの呪文が発動するかはグリモワール自身の意思で自由に決める事ができない”というものである。

つまり、ライトニングという莫大な威力を持つ攻撃魔法を連続して使用してくる可能性はかなり低い。

そこを突けば、勝算はある。


フロシエルが悲鳴をあげながら剣を構えている横で、ゾフィがにんまりと口元に笑みを浮かべ目を細める。

グリモワールは銀髪を揺らして手を掲げる。ページがばさばさと荒れ狂い、それぞれが様々な光を放つ。


「カモン」


それが戦闘開始の合図となった。

一番先に動いたのはフロシエルだった。

呪いが発動するが強靭な意志力でそれを押さえ込み、暗黒の大剣を振りかぶる。


「はぁっ… 動けるっ! てやぁあーーー!!」

「甘い」

「何っ、 うあっ!」


翼を羽ばたかせ突撃してくるフロシエルをイリアはたやすく防御結界で弾き飛ばす。

フロシエルは地面にたたきつけられ、手を離れた暗黒の大剣はガラガラと地面を転がり、イリアはそれを踏み捕らえる。


「蛮勇は通じぬと言った筈だ。 では、行くぞ」


グリモワールの周囲を飛び交うページのうち二枚が強烈な輝きを放ち、それぞれが呪文を発動させる。

一枚目からは魅惑の香りを放つ幻影の香炉が、二枚目からは虚空から伸びる手が、ゾフィに向かって放たれる。

相手を発情させるリビドー、そして対象の装備を解除し丸裸にするネイキッドロアの呪文である。

ゾフィは防御結界を発動させ、リビドーを防いだものの、虚空から突き出たいくつもの手によって魔娼着を弾き飛ばされる。


「あら…いきなりリビドーにネイキッドロア?戦いは戦いでも、こっちがお望みかしら?」


丸裸になったゾフィは自らの乳房をもにゅりと揉みあげ、舌を出してイリアを挑発する。

そのゾフィを見て、表情こそ変えぬものの、イリアの頬が若干赤く染まる。


「我を従属させるという事はそういう事だ」

「お高くとまっているけど、やっぱりこっちも好きなんじゃない。

 なら…お相手を用意してあ・げ・る♪」


ぺろりと舌なめずりを打つと、ゾフィは闇の牢獄からオーク小隊を召還した。

醜く汚れたオーク達十数匹が宝物庫に現れ、イリアを見ると嫌らしく下品な笑いを零しはじめる。


「オ、オンナ。オンナダ。ゲヒヒ」

「オンナ、オカス、オトナシクサセル」

「ドレイダ、アタラシイ、ドレイダ。グヒヒヒ」


イリアを見ただけでオーク達はそのペニスを固く大きくしていく。

配下とはいえこの下品極まりないクズ共を見るのは好きではない。

しかしグリモワールを倒すために手数を増やすためならば仕方ない。

イリアはオークの集団を前にしても表情を崩す事はない。


「いくら蛮勇の力を増やした所で、我には通じぬ」

「それは試してみないとわからないじゃない?

 それに貴女みたいなオンナほど、こういうのに弱いのよねぇ♪」

「…っ 減らず口を!」


オークのペニスを見やりながら挑発するゾフィに、はじめてイリアの眉が寄った。


「隙ありっ! …ひぐっ!? あ、あぁあっ!?」


フロシエルが腰の片手剣を抜き放ち襲い掛かるが、

呪いの抵抗に失敗し、その場に崩れ落ちてしまう。


「なるほど、堕天使の鎧は淫魔のソレか。ではこちらの番だな」


イリアの周囲のページが再び光を放ち、ゾフィに向かって呪文が放たれる。

ゾフィの十八番であるイビルブラスト、そして再びリビドーの呪文だ。

先ほどと同じく防御結界を張り、リビドーを弾くが、暗黒の球体が結界を突き破りゾフィに直撃する。

バヅンッ!!破裂音と暗黒の爆発が巻き起こり、ゾフィの体を抉り飛ばす。

魔娼着の防御力を失ったゾフィは生命力の半分を奪い取られる。後一撃食らえば行動不能となるだろう。


「がふっ!…さすがになかなかやるじゃない。でも…  レイン!」

「はい、ゾフィ様」


レインが癒しの力を解放し、ゾフィの抉れた体を修復してゆく。


「その娘は魔奴隷か」

「ただの魔奴隷じゃないわよ?

 レインのペニスはとっても美味しいんだから…♪

 さ、レイン。見せてあげなさい?」

「は、はい…」


レインがドレスのスカートをたくしあげる。

ガーターベルトとタイツのみの下半身からは、

女性の体には存在しないはずのペニスが半立ちで立っている。

イリアはレインの艶やかな髪、美貌、服の上からでもわかる豊満な肢体、

そしてそのペニスを見て、こくり、と無意識に喉を鳴らし、頬を染める。

すかさずゾフィはイリアの懐に潜り込み、魅了の魔眼で瞳を覗き込みイリアを支配する。


「レインのペニスを見つめちゃって。そんなに欲しいの?

 なら、大人しく私の奴隷になりなさい?そうしたら、レインのペニスを貸してあげる♪」

「なっ、わ、私を奴隷にしたければ、私を打ち倒す事だ!」

「あ、あぁ…、レイン様ぁ…っ!」

「フロシエル様っ、あ、だ、だめです、そんないきなり…っ!」

「!?」


発情したフロシエルがレインのペニスにむしゃぶりつく。

フロシエルは舌を伸ばして竿やカリの裏を舐め、

口にくわえ込むとじゅぷじゅぷと音を淫らにたててレインのモノを愛撫する。

フロシエルのフェラチオに、レインは眼を細めて体を小さく震わしながら、

ペニスをどんどん堅く、大きくしていき、先走りを口内にぴゅるり、と零す。

その淫靡な光景にイリアの眼は徐々に情欲に支配され、

冷徹かつ威厳のある先ほどの顔から、雌のそれへと変わっていく。

イリアはゾフィ、フロシエル、そしてレインに完全に魅了されてしまった。


「ふふ、いい顔になってきたじゃない。

 それじゃオードブルをご馳走してあ・げ・る♪」

「なっ…!?」


ゾフィが指を鳴らすと、オーク小隊が一斉にイリアに陵辱を仕掛ける。

イリアはフロシエルとレインの淫靡な光景に意識を奪われ、その隙を突かれてオーク達に押し倒される。


「ゲヒヒ、イイカラダダァ!」

「シリモヨサソウジャネェカ」

「オマエモ、オレタチのドレイニシテヤル!!」

「くっ、この下種どもがっ…っ! ひぐっ、あ、や、やめろっ、あ…、あぁっ!?」


オーク数十匹に押し倒されたイリアはオークにかんじがらめに拘束され、

いいようにその肢体をもてあそばれ始める。

小ぶりな胸と股間を覆っていたページを思わせる衣装を剥ぎ取られると、つんっと堅くなった乳首と、僅かに濡れた秘所が露になった。

オーク達はイリアをサンドイッチのように挟み込み、四つんばいにさせると、ペニスを尻穴と膣、そして口元にあてがった。


「今まで封印されてきた年月が以下に空虚なものだったか、オーク達のペニスを味わって思い知るといいわ」

「は、はなっ んぐっぅ!!? んっ んーー、んぅうーーっ!!?」

「ゲハハハ、ジブンカラクチヲアケテ、オレサマをムカエイレルトハナァ!!」

「コッチモヌレテルゼ、トンダインバイダァ!!」

「オ、オレガサキダ、グヘヘヘ」


イリアが口を開いた瞬間、オークのペニスが口内に突き入れられ、一気に喉奥にまで入り込む。

そしてオーク達がイリアの手を拘束し、足を広げて固定させると、

膣と尻穴に容赦なくペニスをじゅぶぶぶぶぶっと根本まで導入する。

さらにオークの一匹が胸に跨り、ペニスを柔らかなこぶりな胸にむにゅむにゅと押し当てる。

口、胸、膣、尻を同時に陵辱され、イリアはぎゅっと眉を寄せるとうっすらと涙を浮かべる。


「どう?数百年ぶりのペニスの味は。ちょっと刺激が強すぎたかしら?」

「んぅうーーー!!んぅッ、ンンムゥ、ンゥーーーーッ!!?」

「オッオッオッ!?コイツァ、イイシマリグアイダゼェ!!」

「マッタクダァ、シリアナモイキナリホグレテヤガルゼ!」

「モットノミコメ、コノメスブタガァ!!」


ゾフィがしゃがみこんで眼を細め微笑みながら、イリアの耳元でささやく。

オーク達が一斉に腰を振り、イリアは激しく胎内を蹂躙されていく。

拘束されている手足を激しくバタつかせるも、オーク達の陵辱を解く事はできず、

獣達に疲れるままその威厳をたたえた美しい肢体が汗と愛液に濡れていく。

いつしか苦痛だった陵辱がだんだんと快楽のそれにかわっていき、イリアの瞳が恍惚に染まり細くなる。

オークとイリアの輪姦の後ろではレインへフロシエルの愛撫と奉仕が続いていた。


「ンッ、あぁ…フロシエル様… 気持ち、いいです…っ!あ…んっ…あはぁ…ぅ!」

「んっ、んぅ、はふっ、んむぅっ… レイン様、レイン様のペニス、ペニス、とてもおいひい…♪」


絶え間ないフロシエルのおしゃぶりにレインは身もだえ、ペニスはびく、びくと口内で震えていく。

フロシエルは舌を絡めてじゅぷじゅぷと唾や先走りをこぼしながらペニスをしゃぶり、さらに喉奥にまで招きいれる。


「あ、あぁ…、で、出る、出ます…ッ フロ、シエル様あぁっ…!! あ、ああぁ… あぁーー〜〜っ!!」

「んむっんっ!?んぅ、ん… んぅ…」


びゅるぅう!!びゅるる!!びゅるー!!びゅっるるる!

喉奥まで使ったフロシエルの激しいフェラチオにレインは絶頂を迎え、

ドレスのスカートをきゅっと握り、かみ締めながら、フロシエルの喉に大量の精液を注ぎこんでいく。

フロシエルはその精液をこぼすまいとじゅるるるうぅと吸い上げ、喉へごく、ごくりと流し込んでいく。

ぷはっとフロシエルが射精を全て飲み終わり、口を離すと、唇とペニスを繋ぐ精液の淫らな糸が地面に垂れる。

そして精液で白く染まったペニスを見ると、フロシエルは再びペニスをくわえ込み、精液をなめ取ってきれいにしていく。

その舐め取りでレインはさらに興奮し、ペニスはすぐに復活してフロシエルの頬を内側から突いた。

その様子をゾフィは楽しそうに眺め、ぺろりと舌なめずりをうった。


「あっちも準備運動は終わったみたいね。さ、貴方達もはやく出してしまいなさい」

「オ、オオォオ、ダス、ダスゾオオ!!」

「コボスナァ、ゼンブノミコメェェ!!」

「フオオオオオ!!!」

「んっ、んーーーッ、んんんんーーーっ!!!??」


どぷっ、どびゅぅう、びゅるるるうう、びゅるーー!!

びゅるうう、どぷっどぷっどぷっ!

どびゅるぅう!!びゅるるう!!びゅるうぅうう!!

オーク達が一斉にイリアの喉に、胸に、膣内に、尻穴にどろどろとした精液を注ぎ込む。

単体としての力は弱いが繁殖力の高いオーク達の精子はイリアを妊娠させようと胎内に浸透し暴れまわる。

内側からも犯されていく感覚に、それまで押し付けられる快楽に耐えてきたイリアの身体は限界を向かえ、絶頂に達した。


「フゥ…っ コイツハイイメスアナダゼ」

「モットオカシテヤル、アリガタクオモエ、インバイメ!」

「オ、オレモガマンデキネェ、オレノモノをシゴケ!!」

「あ」

「はぁはぁ…っ この… ゲスどもが…っ!」


おあずけを食らっていたオーク達がひとまず満足したオーク達を押しのける。

その僅かな隙に、イリアは意志薄弱でありつつも手をかざし、大魔導を発動させる。

ゾフィが後方に下がり、フロシエルとレイン、ついでにブラウニーを範囲に入れた防御結界を発動させる。

二枚のページが光輝くと、宝物庫全体に氷の刃の嵐が巻き起こった。

ブリザード。

氷属性の広範囲攻撃魔法である。

単体攻撃としては威力に欠けるが、オーク小隊のような部隊には多大なダメージを与える事が出来る。

そのブリザードが大魔導によって連続して発動されたのだ。

オークの全てが悲鳴を上げる暇も無く一瞬で凍りつき、氷の刃によって凍ったまま細切れにされた。

がしゃがしゃっがしゃ、とオーク達の破片が地面に散らばる。

ブリザードが収まると、ゾフィは結界を解除し辺りを見回す。


「あら…ま、クズが整理できてスッキリしたわ。

 どのみちこれが終わったら始末するつもりだったし」

「はぁ…はぁ… げほっ、げほっ  えほっ  くっ… はぁ、あぁ…」


イリアは喉に入り込んだ精液に咽てそれを吐き出す。オークの穢れた精液がべちゃりと地面に落ち、顎を伝う。

オークを倒したとはいえ、もはやイリアの心は陵辱によって快楽に満たされていた。

レインの復活したペニスを見ると、イリアは脱力した身体を動かし、レインの元へと這うように移動する。

瞳は完全に快楽に染まり、レインのペニスから眼を反らそうともしない。

数百年にわたる長き封印の日々はイリアから快楽への耐性を失わせていた。


「ふふ、もうレインのペニスが欲しくてたまらないって顔ね。

 さっきの高潔な口調と威厳は何処にいったいのかしらね?」


イリアが身体をゆっくりと起こして、レインのペニスに手を伸ばす。

その手をゾフィの手が握りこみ、ぐいっと背中側へと反らし上げる。


「誰に断って私のレインのペニスを味わおうって?まず私にお願いしなきゃダメでしょう?」

「はぁ、あぁ… どうすれば… もう… 身体が… 、あ、あぁ…っ!」

「人にものを頼むときはお願いしますが常識でしょう?

 さぁ、言ってみなさい?

 どうか、ゾフィ様の奴隷である淫乱な知恵の魔導書のオマンコにペニスを下さい、ってね?」


いいながら、ゾフィは肉蛇をイリアのお尻にあてがうと、そのままゆっくりと舌で舐め始める。

それはじらすための愛撫に他ならず、じれったい舌の動きにイリアは喘ぎ、悶え、ついに言った。


「ひぁあっ!ど、どうか、ゾフィ様の、奴隷である、このっ 

 んうっ! 淫乱な… 魔導書にぃ…っ!
 
 ペニスを、ペニスをオマンコに下さいぃ…っ お願い、しま…、あ、あぁあーーっ!!!」

「ふふ、よく言えました。それじゃご褒美をあげなきゃね? レイン、入れてあげなさい?」

「はい…ゾフィ様…。  イリア様、入れます、ね…。 んっ あ、あぁ…  あぁん…っ!」


ゾフィに背中から抱きかかえられたイリアの膣にレインのペニスがぐちゅ、ずちゅりと入り込んでいく。

尻と膣に注がれたオークの精液がごぽり、と溢れて床に池を作っていく。

イリアはレインのペニスの快感に大きくだらしなく口をあけて頭を振ってよがる。


「はぁ…はぁ… ゾフィ、わ、私は…?」

「そうね、フロシエルは顔を犯してあげなさい?」

「うん…っ はぁ、あ、あぁ… ほら、私のも、舐めて、あ、あぁ…!」

「あぁ、あぁ…あ…?あっ んっ、んむっ ん、んっ〜〜っ!」


フロシエルがイリアの顔に股間を押し付け、ぐりぐりと腰をゆする。

イリアは割れ目に舌を突き入れ溢れる愛液を掬い舐め、飲み込んでいく。

そこにはもはや、高潔な威厳ある魔導書の化身としての姿は無く、ただ快楽を求める雌の姿があった。

ゾフィがふと横に眼をやると、ブラウニーがイリアを見つめながら、荒い息をたてて自らの包茎ペニスをくちゅくちゅとしごいていた。

ゾフィはくすりと微笑むと、イリア達から離れ、ブラウニーの元へとしゃがみ込んだ。


「あぁ、お姉さまぁ… あ、くふぅっ んうぅ… あ… ひあっ!?」

「貴方、イリアとセックスした事はあるの?」


ゾフィの問いかけにブラウニーは頬を染めて、小さく顔を横に振った。


「ふふ、そう、それなら喜びなさい。私の奴隷になるのなら、いくらでもお姉さまを犯させてあ・げ・る♪」

「お、お姉さまを、いくらでも…っ」


ブラウニーがごくり、と息を呑み、イリアへと再び目を向ける。


「あぁ、いぃ!!いいのぉ!!もっと、もっと犯して、精液飲ませてぇー〜!!」

「もっと、もっと私のここ舐めて、かき回してぇ!ん、っあ、あはぁー〜っ!」

「あぁ、イリア様のヴァギナも…気持ち、いいです、すごく、締まってぇ…っ!

「あ、あぁ…あんなお姉さま、見た事ないよぉ…っ」


イリアは完全に発情し、口調も完全に変わっている。

その乱れっぷりにブラウニーの小さなペニスはさらに大きくなり、しごく手の動きも早くなる。


「どう?奴隷になったら、あのお姉さまを好きに犯していいのよ?」

「な、なる、なりますぅ、ボク、ゾフィ様の奴隷に、なりますぅ!!」

「ふふ、それじゃあ、貴方もお姉さまと同じように満足させてあげる…♪」


眼を細めて微笑むと、ゾフィはブラウニーを押し倒し、ペニスの上に跨る。

そして手でペニスをつまむと、一気に皮をずるぅ!と剥き、ブラウニーが、ひゃぁう、と艶声を上げる。

そのまま腰を下ろし、皮が向けた子供のペニスを、ゾフィの秘所がくちゅ、ぬちゅ、ぬぷぷっと飲み込んでいく。


「あ…はぁん… はぁ、ふふ、小さくて可愛くて甘いペニスね」

「ひあぁあ…!ボ、ボクの、おちんちんが、うぅ、きゅう、きゅうって、あぁあーー!!」


びゅる!びゅるう!びゅるるっ!!

ブラウニーのペニスは入れただけであっけなく果ててしまった。

しかし、果てたペニスをゾフィの膣肉は容赦なく蠢き、締め付け、しごきあげる。

ブラウニーのペニスはすぐに復活し、ゾフィにまたも精液を搾り取られる。


「だ、だめぇ、でるぅ!ボク、でちゃう、どぴゅどぴゅでちゃうよぉーー!!」

「はぁ、んっ くふぅ… いいわ、好きなだけ出しなさい。いくらでも飲み込んであげる…♪」


「あ、あぁ、イリア、様ぁ、私もう、で、出ます、出る、あ、あぁーー〜〜っ!!」

「んぐっ…んむっ!ぷあぁっあ、はぁっレイン、様、私、も、イリアも、い、イッて…んっ、ん…っ、んんぅーー〜〜っ!!!」

「あぁ、レイン様、イリア、私も、イイ!!いいよぉ!!あ、あぁイク、イクゥ!!イッチャう、うぁ、あぁーー〜〜!」


びゅるびゅるう、びゅるる、びゅるるる!

レインのペニスから精液が噴射し、イリアの膣中をオークの精液とともに満たしていく。

灼熱の精液はイリアを再び絶頂へと達させ、フロシエルもイリアの奉仕で絶頂を迎えた。


「ボ、ボク、またぁ、あ、あぁあーーーーっ!!!」


ブラウニーもまた、幾度目かの射精をゾフィの膣中へ行い、そのままくてりと脱力する。

レイン、フロシエル、イリアもまた絶頂によって脱力し、精液が零れ落ちた地面へと倒れこんだ。

イリアの心は完全に掌握され、ゾフィは魔導書が完全に己のものとなった事を確認すると、にんまりとペニスを入れたまま微笑んだ。



「それじゃあイリア。魔導書になってレインに仕えなさい」

「え、レイン様、にですか…?」

「私に、ですか…?」

「レイン様、おめでとうございます!!」


イリアとレインがきょとん、とする中、フロシエルが拍手をする。


「そうよ。もともとそのために遺跡を探してたんだし。

 レインは本が好きなんでしょう?」

「は、はい…でも、本当によろしいのですか…?」

「私はゾフィ様がそう仰るのならば…それに従いますが…」

「私がいいっていってるからいいのよ。

 それに、魔導書っていうのは持ち主によってその性質を変えるのよ。

 ま、ためしに魔導書を持ってみなさい」

「は、はい…。ではイリア様…」

「わかりました」


イリアが眼を瞑ると、ひゅばばばばっとページが乱舞しイリアの姿を隠していく。

そしてページがだんだんと収束していき、やがて一冊の魔導書の姿となった。

これがグリモワールの真の姿である。

レインがグリモワールを手に取ると、その場に光が溢れていく。

光は魔方陣となって輝き、レインの胸元へと吸い込まれて消えた


「こ、これは…」

「やっぱり…ふふ、レインは本当に面白いわね」

「れ、レイン様!?大丈夫ですか!?ゾ、ゾフィ、どうなってるの!?」

「レイン、グリモワールを開いてみなさい」

「は、はい…」


レインがグリモワールを開くと、そこには何も記されてはいなかった。


「な、何も書かれてないよ!?魔導書なのに」

「いえ、これは… 」

フロシエルが慌てふためく中、ゾフィはじっとレインを微笑み見つめ、レインは白紙のページを指でなぞる。

まるで、そこに文字が書かれているかのように。


「読めるのね?」

「はい…読めます」

「え、よ、読める、って?何も書かれてないよ?」

「何て書いてある?」

「… ここより遠き地にて、赤き髪の魔ギルメ、意思ある剣と知恵の獣率いて魔の大地を渡る…。
 
 またここより遠き地、停滞の魔ベリスティアル、追われし魔を、きまぐれに助け、追いし支配者に牙を向き、停滞から連動へと移り変わる…」

「え、えっと…それは…?」

「… イメージも伝わってきます…。これは、恐らく他の魔族の方の事だと…」

その言葉を聴いてゾフィは満面の笑顔をたたえてレインに抱きついた。

「なるほどね…ふふ、レインってば、やっぱり最高ね♪」

「え、えぇっ!?なになに、どういう事!?」

「レインは、その魔導書を通じて、知りえない情報を知る事ができる。それがたとえ、別の魔界のものであっても」

「え、えぇーーっ!?そ、それってすごい事なんじゃっ!?」

「でも…、ここに書かれている事は全てではなく…他の魔族の方の事は書かれていません」


レインはゾフィに抱きつかれ、頬をそめつつ魔導書のページをめくっていく。


「多分、それはレインの魔力が主人である私に依存しているからでしょうね。

 でも、私がその魔導書を持ったとしても、同じ効果は出ないわ。

 喜びなさい、レイン。貴方は、全てを知る事ができる能力を得たのよ」

「は、はい…。まだ、実感がわきませんけれど…」

「す、すごいなぁ…レイン様、本当に下級魔族なんですか…?」


フロシエルが感嘆し、レインが小さく喜んでいる傍らで、ゾフィは心の中でにんまりと笑った。

このレインの力があれば、大魔王の座だって夢ではない。全てを知る、それは情報戦に勝利できるという事を表す。

いくら力があっても情報で敗北すれば簡単に手玉にとられて敗北してしまう。

そう、情報は力なのだ。蛮勇と蛮力だけでなく、智謀と姦計、計略の飛び交う魔界はただ力が強いだけでは駄目なのだ。


さて、本当に面白くなってきたわ。手始めにあの魔都を頂戴しちゃおうかしら?

ふふ、レインを拾って本当によかったわ。このコだけは、絶対に誰にも渡しはしない。


ゾフィが野望に胸を高まらせている中、レインとフロシエルは無邪気に微笑み合っていた。



続く。
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