【 魔女狩りと魔女裁判 】

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《 魔女狩りの神子 》

 『神子』は『アルコーン』より課せられた使命を遂行しなければなりません。それは『魔女』を追い、見つけだし、それを狩り、火炙りにして埋葬する魔女狩りです。それは危険と隣り合わせの使命であり、『魔女』の《魔術》だけでなく、様々な社会的な妨害工作に見舞われる事になります。『神子』はそれらの妨害への対抗策を取らなければなりません。

 そのために有用な手段として「教団の正式な異端査問官となる」選択と、「教団には属さず、魔狩人として活動する」選択が挙げられます。

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《 異端査問官 》

 異端査問官は、教団より正式に魔女狩りの権限を与えられた教団の魔女狩り部隊の役職です。

 異端査問官になる事でのメリットは、その教団の権威を後ろ盾にできるという事です。具体的には〈枢機卿階級〉を後見人とした〈客分〉の地位を与えられ、〈聖職者階級〉と同等の権力を行使する事ができるようになります。これにより、生半可な妨害工作はかえって妨害者の首を締める事となるでしょう。『神子』は教団にとっても必要な戦力として常に求められており、大聖堂に足を運び自己申告を行い、精査を受ければ異端査問官となる事は容易で、低い階級の『神子』が権力を得るには最も手軽な手段です。

 デメリットは、異端査問官として名前が知れ渡ってしまうために、『魔女』達の情報網で事前にターゲットとして優先的に狙われるようになり、対応が後手後手にまわる事、そして後見人となった〈枢機卿階級〉の者の駒として自由を束縛され、時には《魔女》ではない存在を《魔女》として暗殺する事を強要されてしまう事にあります。後見人が特にそういった悪辣な手段を好む場合、尖兵となる異端査問官は民衆からなおさらに恨まれるでしょう。

 異端査問官になるという事は、仮初の権力と引き換えに、権力に支配されるという事なのです。

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《 魔狩人 》

 魔狩人は教団の後ろ盾なく『魔女』を狩る者達です。彼等の獲物は『魔女』だけにとどまらず、『奈落』に属する超常の存在全てであり、この世ならざる者達に対して凄まじい憎しみを抱いています。

 彼等は教団に属さず、故に社会のしがらみに束縛される事なく、秘密裏に獲物の情報を集め、暗殺によってそれを実行し、『魔女』に先手を打ち続けます。組織的に動くという事が少ないためにその存在が知れ渡る事は稀であり、その生活の大半を狩りのために捧げているために社会的な脅迫をまともに受け付けず、非合法な手段を平然と取るために、理性ある異端査問官からも畏怖されています。

 社会の中にまだ守るべきものがある『神子』が魔狩人の道を歩む事は、異端査問官以上の危険を伴います。しかし、彼等もかつては守るべきものがあった者達であり、それを失ったがゆえに呪われた道を歩む事になったのです。彼等は『神子』の未来の姿とも言えるでしょう。

 魔狩人になるという事は、手段選ばぬ修羅に堕ちる事に外ならならず、彼等は「最も『魔女』に近い狩人」であり、教団から見ても危険な異端者なのです。

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《 魔女裁判 》

 教団から正式に認定された異端査問官には、〈聖職者階級〉としての立場と、その場で即時に魔女裁判を開廷する権利が認められています。そして魔女裁判とは裁判と名ばかりの処刑宣告に他なりません。開廷時点で被告の有罪は確定であり、『魔女』を無力化し、火炙りをして、この世から『魔女』を消し去る儀式こそが、魔女裁判なのです。

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《 火刑と埋葬の重要性 》

 《魔術》には死者を蘇らせる、身体を乗っ取る、不老不死を与えるものがあり、その不死性は肉体を火で浄化した上での埋葬の儀式によってようやく解除できる事が確認されています。この性質は見せしめとしての「火炙り」という残酷な処刑の正当性の根拠として受け入れられていますが、ただ死体を荼毘に付すだけでも問題はありません。



【 魔女裁判のための疑惑と証拠 】

 魔女狩りの使命をできうる限り禍根を残さず遂行するためには、『魔女』である疑惑を元に証拠を集める事が必須となります。それは、『魔女』を打倒しても、その者が『魔女』である証拠を得られない場合、その者を支持する何も知らぬ者達から、不必要な恨みを買う事になってしまうからです。

 使命を遂行する上では「恨まれる」事は避けようがありません。その憎しみの発露をできうる限り抑えるため、対象が『魔女』である証拠を公にさらけ出し「仕方がない」と納得させる必要があるのです。特に、実際に『魔女』である者の無実を信ずる者に、対象が『魔女』であるという証拠を自発的に見てしまうよう誘導する事は重要となるでしょう。

 また、『魔女』は女性のみならず男性も存在します。呼び名からの先入観に惑わされて冤罪を起こさぬよう意識しなくてはなりません。

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 「 魔女として噂が立っている 」

 魔女狩りの始まりとも言える代表的な疑惑です。その大半は、ただ相手が気に入らないというだけで流布される風評被害ですが、中には実際にそうであったという事例は確かに存在します。しかし、これは疑惑に過ぎず、また、「噂が立っていなければ『魔女』ではない」という事には一切なりません。
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 「 魔術の行使を目撃する 」 

 対象が《魔術》を行使するのを目の当たりにすれば、それは確実に『魔女』と断定できます。客観的な証拠としてはともかく、対象が『魔女』として噂されていれば、取り調べの口実になります。もっとも、目撃者が生きていればの話となりますが。
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 「 魔女の烙印を確認する 」

 対象の身体の何処かにある「魔女の烙印」を確認すれば、『魔女』と断定できます。司法の番人にそれを見せれば、客観的な証拠として認められます。それが烙印を模倣しただけの切り傷や刺青だとしても。また、それが逆十字のものであっても。
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 「 魔法の物品を発見する 」

 対象の所持品や私物の中に、通常の物品ではない、超常現象を引き起こす魔法の物品があれば、所有者が『魔女』である証拠とできます。たとえ他所から持ち込まれたものだとしても。
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 「 魔王崇拝の儀礼用品を発見する 」

 対象の所持品や私物の中に、魔王崇拝のための書物や主神を冒涜する書物、そのための祭器があれば、所有者が『魔女』である証拠とできます。やはり他所から持ち込まれたものだとしても。
 
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 「 魔女と接触している 」

 『魔女』と認定されている背教者と繋がりを維持する者は、同じく『魔女』であると疑われるに十分なものです。証拠としては疑惑の域を出ませんが、取り調べを行うには十分な理由となります。
 
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 「 魔術に抗った 」

 眼前で《魔術》の対象となりながら、それに抗う事に成功した者もまた《魔術》の行使を目撃する」と同様に『魔女』としての疑いはかけられます。しかし、対象が教団の聖職者であれば、それは正しき奇跡の術として扱われ証拠としては機能せず、逆にそれを追及した者が『魔女』としての嫌疑をかけられます。
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 「 魔女として指名手配されている 」

 もはや証拠は出揃っていると扱われ、対象には弁解の余地すら与えられません。

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