【 シナリオ進行と経験点 − T 】

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《 シナリオと進行フェイズ 》

 このゲームでは、ゲーム本編は《オープニングフェイズ》《ミドルフェイズ》《エンディングフェイズ》という3種の進行フェイズで構成されています。これらのフェイズをまとめて「シナリオ」といい、フェイズを経る事でシナリオは終了し、《アフタープレイ》へと移ります。

 ● オープニングフェイズ

 キャラクターがシナリオで起こる事件に介入、あるいは巻き込まれる事になる経緯を演出するフェイズです。『神子』が『羊飼い』に呼び出され使命を与えられたり、事件の中心となるNPCとの関係から介入を誘導するなどを演出します。

 PCがそれぞれ介入を決意、あるいは結果的に介入が決定すれば、《ミドルフェイズ》と移行します。

 ● ミドルフェイズ

 キャラクターが実際に事件にどう干渉し、影響を与え、事件を収束していくかを、演出や【判定】を行いながら進行していくフェイズです。「起承転結」でいえば「承・転」にあたり、事件の調査段階を「承」、調査を経て対峙した黒幕との決戦が「転」となります。

 GMは必要に応じてPCに情景や情報を与え、NPCとPCを交流させ、PLにPCの自由行動を促し、PCに判定を行わせながらシナリオ終了目指してPLを誘導していきながらシナリオを進展させます。

 ミドルフェイズ終了の宣言として、GMはPCに対して【堕落判定】を行わせます。その結果を確認すれば、《エンディングフェイズ》へと移行します。

 ● エンディングフェイズ

 ミドルフェイズでの結果が示されるフェイズです。このフェイズでは判定は行われません。目的は果たせたのか、果たせなかったのか、果たしたが犠牲が出たのか、そして、『魔女』に堕落してしまった者は出てしまったのか。それがどのような末路に至るのか。そうした顛末が演出されます。

  【 殉死 】

 戦闘行為や事故によって【死亡】したキャラクターは【ロスト】します。


  【 悲惨な末路 】

 エンディングフェイズまで生還したものの、《命運》が「0」になってしまったキャラクターは、傷が悪化し死を迎える、奴隷とされ社会的な死に追い込まれる、生きながらにして死んだも同然となるなどの凄惨な最期が訪れ、PCとして【ロスト】します。


  【 神子から魔女へ 】

 【堕落判定】に失敗し、《堕落レベル》が「堕落確定レベル」に至ってしまった『神子』は、『アルコーン』との繋がりが絶たれます。それから近いうちに『無垢なる夢』という“魔王からの啓示の夢”を見る事となり、“魔女においてのイデア界”たる『サバトハウス』へと向かいます。そして『黒山羊』の祝福を受け、新たな『魔女』が誕生します。こうして『魔女』に堕ちた『神子』は、カヴェル教団、そして仲間である『神子』との決定的な決裂を迎え、『神子のPC』として【ロスト】します。

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 それぞれの顛末が演出されたならば、シナリオは終了し、《アフタープレイ》へと移行します。

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《 アフタープレイ 》

 PCの成長を行ったり、消耗した《命運》や《所持金》、そして《穢れ》が初期化されるフェイズです。また、前シナリオと次シナリオの間のフェイズともなります。

 《命運》と《所持金》は最大値まで補充され、【損傷】は全て解除され、《穢れ》は「0」に戻ります。

 PCは与えられた使命を果たしたとされれば、それぞれ「3点」の、失敗であれば「2点」の経験点を得ます。また結果として「ヒロイン(マスタリングガイド参照)」が無事であったならば、さらに「1点」を得ます。




【 シナリオ進行と経験点 − U 】

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《 NPCの配役 》

 このゲームでは市街を舞台にしているために登場するNPCが多くなる事があります。そのNPCが今回のシナリオでどのような重要な役割を持っているか、あるいは持っていないのかを示すものが《配役》となります。

 《配役》は「大罪人」「撒き餌」「端役」「モブ」の4種類に別れています。この内「大罪人」は必ず1人は用意しなければなりません。

● 大罪人

 「大罪人」は、PCが介入する事になる異変の元凶、起因となる存在です。PCはこの大罪人を打倒する(【死亡】させたり《命運》を0にする)事が必要となります。異変を起こしてまで早急に成し遂げたい事が大罪人にはあり、そのための陰謀を張り巡らせます。

 その目的は、《罪》に沿う野心や性癖の充足が基本となります。大罪人には《罪》を煽る『魔女』や『禁書』の影がちらつき、時には『魔女』そのものかもしれません。大罪人の目的は社会正義よりも個人的な我儘や独善、自己満足のものであり、その過程でスキャンダルともいえる実害を撒き散らし、「撒き餌(後述)」を巻き込んでいきます。その成就は大きな被害を社会に招くと設定する事で、PCの積極的な介入動機とできます。

 大罪人の《階級》は、PCの中で最も高いものの一段階上位までに留めるといいでしょう。そして大罪人の《階級》を基準とした規模の集落がシナリオの舞台となるでしょう。《階級》の差が離れるほどに、PCの介入や調査は難度が上昇します。

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● 撒き餌

 「撒き餌」は「大罪人」から獲物として見定められ、PCが護らなければならない(【死亡】させたり《命運》を0にしてはならない)存在です。そうであれば老若男女関係なく撒き餌となれます。

 撒き餌は事件の中核にある事でPCを大罪人へと誘導する重要な道標としての役割を担っています。撒き餌は大罪人の陰謀の鍵をにぎる人物であり、そのために撒き餌は事件に巻き込まれ、自身やその《楔》は喪失の危機に陥ります。

 その渦中で、大罪人は時として撒き餌に『魔女』の冤罪疑惑をかけ、彼・彼女の《命運》を減少させ、心身を蝕んでいきます。撒き餌の《楔》が喪失してしまった時、撒き餌はエンディングにて魔王の崇拝者へと至る等、破滅の道を歩むでしょう。

 PCの《楔》を撒き餌に抜擢する場合、一度に全員分ではなくPC1人分の《楔》に止め、そのPCを中心としてシナリオを進行していくとよいでしょう。

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● 端役

 「端役」は撒き餌の家族や理解者などの保護者であったり、PCの協力者であったり、大罪人配下であったりします。撒き餌や大罪人との大きな違いは、その生死や破滅はシナリオクリアの条件に直接的に関与しない事で、仮に悲惨な末路に至った場合、それはヒロインに危険が強く迫っている事への警告や、あるいはボスの打倒が目前に迫っているなど、状況が逼迫、進展している事を知らせます。

 端役そのものの動き方として、協力者はPCに調査の起点や転換点となる情報を与え、大罪人配下の端役であれば大罪人との繋がりをPCに結果として伝え、大罪人への疑惑を確信へと至らせるという役回りが基本となります。

 「裏切り者」の端役を用意するならば、最終的にPCと大罪人、どちらに与するかを基準に「協力者」か「大罪人の配下」として決定します。

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● モブ

 「モブ」は、その場限りの使い捨てとして演出される群衆です。聞きこみを行った名も知らぬ市民や、武器屋や宿屋の店主や従業員、そして異変に巻き込まれ死体として見つかる哀れな被害者や、ボスに仕える下っ端など、その生死が物語上、特に重要視されない者がこれにあたります。【家】の従者、そして《業者》や《陰謀工作》で利用・雇用できるNPCもモブに含まれます。

 モブの役割は、異変の脅威をPCに知らしめる補強材です。現地集落のモブの不安や楽観は、事件の深刻度や、陰謀が水面下で動いている事の指針として、異変の犠牲者として死体として発見されれば、どのように、なんのために殺害され、どれほどの頻度で犠牲者が増えているのか、共通点はあるか等の重要な情報を与えてくれます。

 彼らは主導権を握れる立場に一切なく、また多くは恐れから関り合いを避けたがるでしょう。GMは必要であれば、PCとモブが戦闘になった際、自動的にPCの勝利としても構いません。

 


【 シナリオ進行と経験点 − V 】

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《 選択ルール ・ シーン 》

 通常のシナリオ進行ルールに、「シーン」という追加ルールを適応します。GMはこのルールを適応する際、PLに申告を行ってください。

 ● シーン

 シナリオで描写される、キャラクターが活動する場面、それを「シーン」と定義します。PCもNPCも、実際に活動する際はこの「シーン」に登場しているとして扱います。そのため、この「シーン」は「オープニング」「ミドル」「エンディング」のフェイズ全てに適応できます。

 GMは「シーン」の開始と終了を任意に宣言できます。GMは「シーン」に登場させるPCやNPCを任意に指定でき、登場していないキャラクターは、その「シーン」に介入する事はできませんし、逆に未登場キャラクターに対して目視や接触などを必要とする直接的な干渉は当然ながら行えません。(ただし、何かしらの手段で会話が可能な場合は、互いに会話での干渉が可能です。)

 「シーン」開始時にGMは、その「シーン」でどのような活動をPCに行ってもらうかを宣言します。その活動の成否が決定するなどして一段落した時、未登場のキャラクターとの面会を求める時、あるいは長時間の移動や作業を行う際にその経緯を省略したい時を終了の基準とします。GMはシーンの合間に任意にゲーム内時間を経過させる事ができます。


  【 マスターシーン 】

 PCを一切登場させない「シーン」は「マスターシーン」となります。NPCすらも登場させず、無人の情景を演出する事もできます。「マスターシーン」で何が起こっているかをPCは知る事はできませんが、シナリオ誘導のためにPLには情報を伝えておきたいという際に宣言できます。


  【 充足シーン 】

 PLは「シーン」と「シーン」の合間に、GMに自身のPCの《性癖充足》を申請する事ができます。その際、PLは充足させたい《性癖》とそれを行う場所を申告します。指定する《性癖》は1種でも全てでも構いませんが、指定の場所でそれらを全て充足可能だとするGMの裁定が必要となりますし、その場所へPCが問題なく訪れられるかどうかの裁定も必要となります。それが認められれば、申請したPLのPCが《性癖充足》するための「充足シーン」をGMは用意します。

 「充足シーン」では申請PLのPCの《性癖》が自動的に充足されます。演出を行う場合、《性癖充足》に失敗しない事を前提としてください。なお、演出は省略を可能とします。

 「充足シーン」では他のPCの登場の許可は、GMと、申請したPLの同意を必要とします。GMは許可しても申請PLが許可しなかった場合、登場希望PLは自身のPCに「−20」の【追跡判定】を行わせ、成功すれば申請PLの「充足シーン」に自身のPCを登場させる事ができます。


  【 戦闘シーン 】

 ラウンド進行を伴う戦闘は「戦闘シーン」として扱います。「シーン」の処理としては「戦闘に向かうシーン」の後に「戦闘シーン」となり、その勝敗が決すると「戦闘シーン」は終了し、「決着後のシーン」へ切り替わるものとなります。

 「戦闘シーン」開始時、GMは戦闘終了条件を提示します。基本は「敵対存在を全て無力化する」となりますが、これは必ずしも皆殺しにする事とはつながりません。無力化はその者の士気の高さに依存しており、以下を基本とします。「動物」は「決死隊」を、「異形」は「狂人」を基本とします。

三下 【重傷】あるいは【出血多量】を1個、あるいは【負傷】を2個受ける。
プロ 【重傷】【出血多量】を合計2個受ける。
決死隊 【重傷】【出血多量】を合計3個受ける。
狂人 【死亡】する。



【 シナリオ進行と経験点 − W 】

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《 コネクションによる命運修正 》

 PCはシナリオ中の言動やその結果によって、事件の渦中にあったNPCと交流した結果、友好的あるいは敵対的な関係性を得て【エンディングフェイズ】を迎える事があります。そうして得たNPCとの関係性を《コネクション》といい、以後、相手NPCの【家】がある集落にPCが滞在する場合、PCの《命運》の最大値が変動します。

 《コネクション》の取得について、PC全員が取得するのか、あるいは特定のPCのみが得るのかはGMは任意に決定します。なお、「モブ」のNPCをコネクションにする事はできず、またPCどうしを《コネクション》にはできません。

 友好関係や敵対関係が何かしらの理由によって決着がついて解消された場合、その《コネクション》で受けていた修正も消滅します。これらの変動は重複していきます。

 PCが《コネクション》としたNPCは、PCを《コネクション》としていると扱っても構いません。NPCがNPCを《コネクション》に設定する事もできますが、多くのコネクションをもたせる事はゲーム上のバランスを著しく崩す恐れがあるため、注意して設定してください。

 なお、《コネクション》により《命運》の最大値が「0以下」となり、そのまま【エンディングフェイズ】に移行した場合、そのキャラクターは敵対関係にあるNPCの陰謀によって破滅的な結末を迎えます。

 ● ミドルフェイズ

 以下は《コネクション》を結ぶ対象の《階級》を基準とした変動の基本値となります。

 『異端査問官』をはじめとする〈客分〉は、後見人と友好的なコネクションを有しているとしても構いません。

【 奴隷階級 】
友好的 変動なし
敵対的 −1
【 低位市民階級 】
友好的 マイナス修正を1軽減
敵対的 −1

【 中位市民階級 】
友好的 マイナス修正を2軽減
敵対的 −2
【 高位市民階級 】
友好的 マイナス修正を3軽減
敵対的 −3

【 騎士階級 】
友好的 マイナス修正を4軽減
敵対的 −4
【 貴族・聖職者階級 】
友好的 マイナス修正を5軽減
敵対的 −5

【 大貴族・枢機卿階級 】
友好的 マイナス修正を6軽減
敵対的 −6
【 教皇 】
友好的 マイナス修正を9軽減
敵対的 −9

 《コネクション》を結んだ対象が『神子』あるいは『魔女』だった場合、以下の追加修正を受けます。

【 神子 】
友好的 さらに2軽減
敵対的 さらに−1
【 魔女 】
友好的 さらに1軽減
敵対的 さらに−2


【 シナリオ進行と経験点 − X 】

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《 経験点 − A 》

 【経験点】は以下の機会と用途で使用できます。消費点が不足する場合は使用できません。

【 能力値成長 】
機会 アフタープレイ
消費点:1

 任意1種の《能力値》を「+5」します。結果、合計成長猶予が「−5」されます。


【 一長一短 】
機会 アフタープレイ
消費点:1

 任意1種の《能力値》を「−5」して他1種の《能力値》を「+10」します。結果、合計成長猶予が「−5」されます。


【 階級変更 】
機会 アフタープレイ
消費点:4

 〈最低権力〉を満たす別の《階級》に変更します。ただし、GMの許可が必要です。


【 境遇取得 】
機会 アフタープレイ
消費点:4

 未取得の《境遇》を1個取得します。追加可能な《境遇》は3個となります。


【 魅力取得 】
機会 アフタープレイ
消費点:4

 《魅力》を任意に1個取得します。追加可能な《魅力》は2個(最大5個)となります。


【 強みと弱み 】
機会 アフタープレイ
消費点:2

 《魅力》と《嗜好》を任意に1個づつ取得します。取得済の《魅力》の合計数が「5個」である場合、《嗜好》のみの取得となり、その際の消費点は「1」になります。


【 性癖変更 】
機会 アフタープレイ
消費点:2

 有している《性癖》を1個、別の《性癖》に変更します。


【 新居入手 】
機会 アフタープレイ
消費点:2

 任意の集落に、新たな【家】を入手します。新築でも、中古購入でも構いません。初期作成時と同様に、新たに入手する家屋を1種指定してください。



 
【 シナリオ進行と経験点 − Y 】

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《 経験点 − B 》

【 足掻く 】
機会 ミドルフェイズ中いつでも
消費点:2

 《命運》を「1点」回復します。


【 こんな事もあろうかと 】
機会 ミドルフェイズ中いつでも
消費点:1

 即座に【包帯】あるいは【添え木】を1個購入できます。これは「既に買っていた」として扱います。


【 命の焔 】
機会 ミドルフェイズ中、【アヘンチンキ】の効果中に【死亡】した時。
消費点:2

 この効果はシナリオ中1回のみ受けられます。【死亡】は【重体】に変化し、即座に《命運》が1点回復します。

 【重体】では、命は取り留めるものの、シナリオ中は意識不明のままとなります。【重体】で新たに【死亡】に至る効果を受けると、【重体】は【死亡】に変化します。

 【重体】で《ミドルフェイズ》が終了する際、【堕落判定】を行う前に、〈目標値:50〉の【幸運判定】を行います。これに失敗すると《命運》は「0」となります。


【 磔刑の後光 】
機会 【堕落判定】に失敗した時。
消費点:2

 この効果はシナリオ中1回のみ、かつ《穢れ》が「0」である場合にのみ受けられます。【堕落判定】で失敗時、かつそれがファンブルでない場合、判定を成功に覆します。ただし、これによる成功では《命運》の最大値上昇はありません。


【 悪運 】
機会 エンディングフェイズ中いつでも
消費点:4

 【悲惨な末路】による【ロスト】を無効化します。

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