【 魔女の魔術 − T 】
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『魔女』がそうである所以、それは魔王より授けられた『加護』と《魔術》にあります。『魔女』は『神子』と同様に《罪》を有しており、その中で最も罪深いものが《原罪》として魂に刻まれています(このため、最も高い〈罪点〉は、常に1種のみとなります)。 その《原罪》が形となったのが、肉体の何処かに刻まれた、槍をモチーフとした『魔女の烙印』です。この『烙印』を通じて、『魔女』は『奈落』という地獄へ魂を通じ、その力を借り受ける事ができるのです。 『魔女』が行使可能な《魔術》は2種類です。1つは『原罪の庇護』と呼ばれる、全ての『魔女』が行使できるもの、もう1つが『大罪の烙印』と呼ばれる、それぞれの《原罪》の『魔女』のみが行使できるものです。例えば、『憤怒の魔女』であれば、『原罪の庇護』と『憤怒の烙印』を行使できますが、それ以外の『怠惰の烙印』や『傲慢の烙印』は行使できません。
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《魔術》の行使には、〈代償〉と、【魔術準備】が必要となります。〈代償〉は《命運》であり、【魔術準備】は射撃攻撃においての【装填】に近いものです。行使の準備は、詠唱や身振り手振り、あるいは長時間の拘束を伴う儀式となります。準備完了後に別の《魔術》の準備を行う事はできず、別の《魔術》を使う場合は、準備完了した《魔術》を行使するか中断しなければなりません。行使中断した《魔術》を再準備するならば、最初から【魔術準備】を行う必要があります。 高位の《魔術》は、〈代償〉が高く、あるいは【準備】が長くなりがちで、戦闘にてそれを行使するならば、それを補う「壁」となる下僕が必要となります。このため、『魔女』は万が一の戦闘に備えて、戦闘力のある人間を側においていたり、有象無象の集団を従えていたりする事が多くなります。そしてそれは、陰謀成就のために権力者に取り入る過程で必然的に得られるものなのです。 なお、効果時間がシナリオをまたぐ程に長期化する場合、引き継いだシナリオ開始時に《命運》は通常通り初期化された上で〈発動代償〉を受けます。
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『魔女』は『神子』と同様に、《魔術》の抵抗の術を有していますが、《魔術》そのものの行使を「なかった事にする」という《魔術妨害》を行えます。 《魔術妨害》は、通常通りまず【抵抗判定】に成功する事を発動条件とし、妨害を行うかどうかを任意に決定します。行うのであれば、行使者の「魔術行使」のターン行動は「何もしなかった」というターン行動へと改変されます。これにより、行使者と抵抗者が代償として捧げた《命運》も「なかった事」になります。 この能力のため、『魔女』どうしの抗争は不毛になりやすく、派閥抗争状態にある関係であっても直接戦う事を避け、戦いが避けられないのであれば、通常の人間のように武器を用いて戦う事が多くなります。もし、『魔女』が、敵対する派閥の陰謀を妨害しとうと動くならば、「敵の敵は壁」かつ「敵の敵はやはり敵」を前提として、『神子』を利用しようと陰謀を企てるかもしれません。
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『魔女』は、他者に直接触れる事で、相手の最も高い《罪》を度合いと共に感知できます。相手は『神子』であろうと《罪》を悟られた事を自覚できません。この感知能力によって、『魔女』はその者へ容易に取り入る事が可能となり、利用するために自らが《原罪》とする《罪》を煽り立てていきます。とある《原罪》を有する『魔女』の陰謀が進んでいくと、その《罪》に沿った事件がたびたび巻き起こるのは、このためなのです。 『魔女』は、こうして取り行った人間を、当人がそれを自覚しているかどうかに関わらず、『眷属』と呼び、使役しています。
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『神子』が『羊飼い』に使命を与えられるように、『魔女』もまた『黒山羊』から使命を与えられます。『黒山羊』は主人である魔王の配下ですが、それぞれが独自に『サバト』と呼ばれる組織を有しており、『魔女』はその『サバト』の構成員となります。 これらの『サバト』は必ずしも協力しあってはおらず、むしろ距離をおいています。《罪》に溺れた『魔女』の集団は、いろいろな意味で刺激的であり、出来うり限りそれを刺激せず干渉はしない、それが基本です。『サバト』が争い合う時、それは、それそれが仕える魔王の思惑の下にあります。
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