【 ゲームの概要や諸注意 − T 】

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《 TRPGの遊び方 》

 TRPGとは「テーブルトーク・ロールプレイングゲーム」の略称で、大雑把にいえば「卓に集った参加者達が会話とルールで遊ぶゲーム」です。TRPGはゲーム毎にユニークな世界舞台が用意されており、そこに住まう幻想世界の住人達であるキャラクターが主役として活躍します。その世界やキャラクターを参加者が動かしていく事で、舞台とキャラクターは波乱万丈な物語を形作っていく事になります。そのために必要なものが、会話とルールなのです。

● 【メタ進行】 【演出進行】 【ルール進行】

 会話には参加者間での進行相談や、参加者が動かすキャラクターから発せられる言葉や行動、それへの反応のキャッチボールが含まれます。この「デカダンスRPGイノセンス」では、参加者間の「次はどのような方針でゲームを進めていこうか?」という進行相談を【メタ進行】としています。

 それを元に展開されるゲーム世界の風景・状況の描写説明や、ゲーム世界内視点で行われるキャラクターの会話・言動等を【演出進行】としています。

 この会話による【メタ進行】【演出進行】には具体的なルールというものはありません。ルールがなければ言いたい放題の投げっぱなしとなって、とてもゲームどころではありません。そこで、キャラクターの言動がゲーム世界にどう影響を与えるのか、そもそも与えられるのか、そして目論見通りに事が進むのか、裏目に出てしまうのかを、用意されたルールを参照し、ルールで指示された内容に従って結果を確定します。これを【ルール進行】としています。

 【メタ進行】【演出進行】【ルール進行】これらを交互に繰り返す事で「デカダンスRPGイノセンス」というTRPGゲームは進行していきますが、これらを行うために最低限必要な参加者の役割分担として、進行・裁定役である『ゲームマスター(以後GM)』と、それに従いゲームを進めていく『プレイヤー(以後PL)』に分かれています(これらの名称はゲームによって変更される事があります)。

 GMは基本1人、それ以外の参加者はPLとしてゲームに参加します。

● PLとGM

 PLは、ゲーム世界内で動かせる専用キャラクターたる「プレイヤーキャラクター(以後PC)」1体を操作し、GMの進行案内を元に、他のPLと協力しあいながらPCに与えられたクリア目標を目指していく、いわば挑戦者役です。

 GMは、ゲーム世界そのものを描写し、PCの行動の結果を裁定し、PLが操作できない「ノンプレイヤーキャラクター(以後NPC)」を操作して進行させていく、案内進行役です。PCに与えられたクリア目標もGMが用意し、悪役や罠などクリアを阻む障害となるものも、はたまた逆にPCを手助けする友好的なNPC等も、GMが用意し運用します。

 ここで注意しなければならないのは、GMとPLは「対戦相手」ではないという事です。PCの出来る事は有限ですが、裁定・進行役であるGMは、その役割を悪用すれば、いくらでもPCを欺け、そして陥れる事ができます。これはPLには対処しようがありません。もし対戦相手として互いを扱えば、少なくともこの「デカダンスRPGイノセンス」はゲームとして破綻してしまうでしょうし、なによりそれは一緒に遊ぶゲーム仲間を失ってしまう事にもなりかねません。

● 意見交換の重要性

 誘導・裁定役としてのGMと、挑戦者としてのPLという役割分担は、共に参加者全員の楽しさとそれを生み出すゲーム進行の協力のために用意されています。GMがその役割としての権利を悪用すればPLにはどうする事もできないように、PLがGMに非協力的だとGMも誘導が行えずゲーム進行に著しい問題が発生してしまいます。

 GMはPLが誘導に乗りやすいように、PLはGMが誘導しやすいようにゲームを勧める事を意識し、もし誘導やその対応の意図がわからない場合は、その場で意図を問うなどして意思疎通のすり合わせを行う事が重要になります。

 例えば「○○をしたい(させたい)」という時は「どういう結果を求めてそれを望むのか」という理由も添える事が望ましいものとなります。求める結果を伏せ、その要求の意図の問いかけを無視して強行する事は基本的にゲームの妨害行為となると気をつけましょう。

● シナリオ

 シナリオとは、GMがPLを誘導するために必須となる筋書きです。PLはゲームのクリアを目指してPCを操作していくわけですが、シナリオが存在しない場合、肝心のクリア条件が不明なままとなってしまうだけでなく、まずPCがゲーム世界内の何処にいるかすらわからなくなってしまい、ゲームとして動かす事ができません。

 そこで「開始地点」「クリア条件」を用意し、開始からクリアまでの筋道を用意する必要がでてきます。PCは何処にいて、何をすればクリアになるのか。クリアに至るまでの障害・援助はどのようなものか。そして、どれだけ障害突破の失敗が重なればクリア失敗となりゲームオーバーとなるのか。それらを演出・ルールとして用意し、それを元にどのようにメタ進行していくか。これらを整えたものが、シナリオとなります。



【 ゲームの概要や諸注意 − U 】

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《 デカダンスRPGイノセンスのゲーム概要 》

 このゲームは腐敗した架空の独裁宗教国家を舞台としています。ゲームの主役となるPCは『神子』とよばれる、超常の力に対抗する術を与えられた人間であり、大切なものを守るため、相対する『魔女』や、その協力者である者達へと立ち向かう世界観となっています。

 戦闘では武器が直撃した箇所は負傷し、大きく戦闘力を損なう「損傷システム」が特色であり、『魔女』との決戦に万全の態勢で挑むためにも、できるだけ不要な戦闘は避ける事が望まれます。

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《 割り算処理 》

 ルール上の割り算によって生じた余りの数値は、全て「切り捨て」の処理を行います。

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《 基本となるシナリオ 》

 まず『神子』が『羊飼い』よりとある地域で暗躍する『魔女』を狩るよう命ぜられる事から始まります。しかし、『魔女』が活動していると思わしき集落はわかれど、具体的にその集落にいる誰が『魔女』なのかはわかりません。

 そのため、誰が『魔女』であるかを突き止めるために、調査を行う必要があります。その調査の過程で、『魔女』の陰謀の目的を探り、『魔女』となる容疑者を絞り出し、証拠を集め、確証を得れば、容疑者を問いただす『魔女裁判』へと至ります。

 しかしそれまでに逆に『魔女』の嫌疑をかけられる妨害などをうける事もあれば、裁判においても『魔女』は超常なる力《魔術》を使い、配下ともども抵抗する事もあるでしょう。それに打ち勝てれば、無力化された、あるいは死亡した『魔女』を、2度と復活できぬように、火炙りの後に埋葬する事となります。

 裁判の結果が冤罪でなければ、事態は収束へと向かうでしょう。これが、イノセンスにおける基本的なシナリオの流れとなります。

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《 曖昧な記述や設定改変などについて 》

 実際にゲームを運用するにあたり、GMは作中の曖昧な記述への独自解釈や、明記されている設定の改変の自由を有し、レギュレーションを決定する権利を有します。GMは、遊びやすいようにルールや設定を追加・補填する自由を有します。解釈の余地のない明記されているものを変更した場合、事前に参加者へ通達を行い、情報のギャップを埋めるよう運用してください。ゲーム中のGM裁定も、ルールブックの記述より優先されます。PLはGMのこうしたレギュレーション設定に従ってください。

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《 ルール運用時のミスについて 》

 ゲーム運用中、上記をふまえた上で、ルール処理のミスが起こった場合、そしてそれに気がついた場合、ルールの不遡及を前提として、ルールの修正はそれ以後に適応し、できうる限りゲーム進行の巻き戻しはせずに続行してください。

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《 遊ぶ上での注意 》

 このゲームは、実際の現代社会において反倫理的な差別が横行する社会を舞台とし、そして時には残虐表現や性表現が演出される事も想定しています。ですが、それは実際の宗教問題や差別への提言、議論を求めるものではなく、あくまでゲームにおいて背徳的な舞台の雰囲気を出すための演出表現に過ぎません。決して、現実での社会問題との混合をなさらぬよう、気をつけてください。

 また、参加者に必要以上の不快感を与えるような過激な表現を行う事はしないでください。参加者は他の参加者が許容できる演出表現を把握し合い、事故が起これば摺り合わせの話し合いを行ってください。ゲーム中の過激表現は参加者間の合意の範囲でのみ許容される事、忘れないでください。

 なお、作中における個人、宗教、組織、国家は、実際のものとは一切関係がなく、それらを貶める意図もなく、なんら権利を侵害するものではありません。

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