【 プロローグ 】

 僕たちは、僕たちのご先祖様は、大昔に楽園っていうところから開放された。

 楽園は、すごく楽しくて、痛い事なんかぜんぜんなくて、どんな時でも、誰であっても、幸せが約束されていた、って事になっていたんだって。

 でも、本当はぜんぜんそんな事なくって、苦しくて、痛い事だらけで、楽しい事なんかぜんぜんない、そんな嘘ばかりの世界だったって、神父様は言ってた。

 僕たちが嘘の楽園にいた頃は、今はもう、なくなっちゃった名前の、じゃあくな神様がいたらしくて、僕たちはその神様がつくった地獄に閉じ込められていたんだけど、地獄を天国って思うように酷いお勉強をさせられて、そこでの生活をおかしいって思う事なんか許されなくって、もしおかしいっていったら、酷い事をされて、殺されちゃうんだって。

 それを、でみうるごすっていう、今の僕たちを守ってくれる神様が、助けてくれたんだって。だから、僕たちは今、そんなこわい地獄じゃなくて、ぷるがとりうむ、っていう本当の楽園の入り口みたいなところに住んでるんだって。

 僕たちはここでずっといい子でいれば、本当の楽園にいけるから、頑張ってお勉強して、素直ないい子になりなさいって、神父様も、お父さんも、お母さんも、隣の家のおねえちゃんも、言ってくれた。

 だから、僕はずっといい子でいて、すっごく楽しくて、痛い事なんかぜんぜんなくて、誰であっても、幸せが約束されてる楽園っていうところにいけたらいいな、って、思いました。



 嘘だ。そんなの嘘だ。嘘っぱちだ。神父様のいう事なんか、信じられない。

 僕は見たんだ。神父様が、お父さんを、棒でぶつのを。寄付金が足りないって、信心が足らないって、だからお金を持って来いって、言ってたのを。神父様にお金を取られて、税金っていうのも役人さんに取られて、お母さんが今日も、ごめんねこれしかないのって、自分の分のパンを僕にくれるけど、そのせいで、僕は我慢できるけど、全然美味しくなんかない。

 隣の家のお姉ちゃんの家に行かないようにってお父さんとお母さんに言われてる。お姉ちゃんは外に出る時、いつも派手な服を着てる。何処にいくのって聞いても、秘密って言って教えてくれない。きっと、行ったらいけない、怒られるようなところにところに行ってるんだ。

 ひと月前、同い年のヨハンがいなくなった。今、ヨハンのお父さんとお母さんは、その時よりなんだか太った気がする。きっとヨハンを食べちゃったんだ。

 お腹が空いてお母さんがふらふらしてるのに、お父さんはお酒を飲んでばかりで、僕が見ていると、殴ってくる。

 もうこんな毎日嫌だ。苦しくて、痛くて、悲しくて、こんなところの、何処が楽園の入り口っていうんだ。いい子にしてたら楽園にいけるって、それを言ってる神父様は、ぜんぜんいい人じゃない!

 昨日、僕が、お姉ちゃんの家から出てきた神父様とぶつかっちゃった時、神父様の足に、変な落書きが見えて。それを言ったら、すごい怖い顔してぶってきて、その時、お前も、お前の家族も、もう終わりだって、酷い事言われた。

  帰ってお父さんに言っても、怒鳴って僕をぶつだけ。僕はずっといい子でいようとしてたのに、どうして大人の人は、僕と、お母さんを助けてくれないの。誰か助けてよ。 誰か。  神様。

 外で泣いてたら、僕の手を、誰かが握って立ち上げてくれた。すごく優しい顔をしてた。その手には、十字架みたいな模様があった。

 天使様?助けて!って言ったら。


 「わかった。」って、言ってくれた。  

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